監修 ボルジギン・フスレ 昭和女子大学教授

ごあいさつ

 日本国国立公文書館(NAJ)とモンゴル国公文書管理庁(GAAM)の協力関係の構築は、2013年中国成都で開催された国際公文書館会議東アジア地域支部(EASTICA)第11回総会を機に始まりました。その後、お互いの国を訪問し、両国の公文書管理制度の理解を深め、具体的な事業について相談を重ねていき、2019年11月東京で開催されたEASTICAの際、NAJとGAAMの間で、アーカイブズ及び記録管理に係る協力覚書に署名し、一つの節目を迎えました。
 日本とモンゴルは2022年2月24日に外交関係樹立50周年を迎えることから、覚書に基づく最初のプロジェクトとして、日本とモンゴルの交流に係るオンライン資料紹介を制作・公開することで2020年に合意し、世界中で新型コロナウイルス感染が拡大し人の行き来が困難な状況の中で、メールやオンライン会議を活用し、共同で事業準備を進めてまいりました。
 そして今般、両国の交流の歴史を振り返るオンライン資料紹介「日本とモンゴル~綴られた交流のあゆみ~」を公開いたしました。日本とモンゴルの関係は、常に平穏であったわけではありません。しかし、第二次世界大戦終結後には、国交正常化に向けた地道な官民の交流、東京オリンピック1964の開催などを通じて、1972年の外交関係樹立につながり、1990年代以降、両国の関係はさらに深まっていきました。このサイトでは、NAJ及びGAAMの所蔵資料を中心に、時代を分けて6章にわたり紹介しています。
 現在に残された貴重な資料を共有するこのプロジェクトは、今後の更なる相互理解の一助となり、両国関係の発展につながっていくものと確信しております。
 最後になりますが、資料紹介の監修者として企画全体についてご指導いただいた昭和女子大学教授ボルジギン・フスレ先生に深く感謝するとともに、資料をご提供いただいた外務省外交史料館、防衛省防衛研究所、本企画の開催に向けご尽力いただいた外務省、モンゴル国公文書管理庁ほか多くの個人・団体の皆様に、厚く御礼申し上げます。

日本国国立公文書館 館長 鎌田 薫
 モンゴルと日本は、1972年2月24日にモスクワで交換公文を交わし、外交関係が樹立されました。1974年9月23日には文化交流に関する取極が、1977年3月17日には経済協力に関する協定がそれぞれ締結されました。しかし、このパートナーシップは1990年代まで限定的なものでした。
 モンゴルで民主化と改革が本格的に動き出した1990年代以降、友好関係と協力関係は拡大を遂げました。
 1998年から総合的パートナーシップ、2010年から戦略的パートナーシップを結び、より強い外交関係を築いています。
 2011年に改められたモンゴルの外交政策方針では日本を「第三の隣国」と位置付け、協力関係の拡大を図ることが謳われ、モンゴルと日本の間では、社会、政治、経済、文化、教育等の分野における協力関係で、新たな段階に達しています。
 アーカイブズの分野でも、2019年に東京で開催された国際公文書館会議東アジア地域支部(EASTICA)の会期中に、モンゴル国公文書管理庁と日本の国立公文書館の間で、協力覚書が署名されました。
 この協力覚書に基づき、モンゴルと日本の外交関係樹立50周年を機に、お互いの交流と協力の歴史を示すアーカイブズ資料を、画像を用いてオンラインで紹介するウェブサイトを開設することになりました。
 本サイトでは、700年以上にわたるモンゴルと日本の交流と協力の歴史を、6つの章に分けて、多くの重要な資料や写真で紹介しています。元朝時代の外交文書、20世紀初頭にモンゴルで生活していた日本人に関する記録、ボグド・ハーン政権から日本への書簡、モンゴル人民会議幹部会・閣僚会議・モンゴル人民革命党中央委員会などの合同会議等の決議・決定事項などが含まれる他、1961年の、重光晶在モスクワ日本大使館臨時代理大使を通じた、モンゴルと日本の関係をめぐる課題やモンゴルの発展状況について知識を得たいという要請に関する資料も紹介しています。
 このような資料の紹介という事業を通じて、モンゴル国公文書管理庁と日本国国立公文書館という二つの組織の関係に新たな1ページを記すことが期待されます。
 そしてまた、今回のオンライン資料紹介「日本とモンゴル~綴られた交流のあゆみ~」によって、モンゴルと日本の関係史に新しいページが刻まれることを確信しています。
 今回のウェブサイト公開に積極的にご協力いただいたモンゴル国外務省と、日本国国立公文書館をはじめとする関係者の皆様に、心より感謝申し上げたいと思います。
モンゴル国公文書管理庁 長官
エンフバータル・サムダン
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