式典第二部

 式典の第二部では、「国立公文書館が果たしてきた役割・新館への期待」をテーマに、パネルディスカッションが行われました。ここでは、公文書管理委員会委員長の小幡純子氏、読売新聞東京本社常務取締役総務局長・関連会社担当の田中隆之氏(のちに内閣府の「魅力ある新国立公文書館の展示・運営の在り方に関する検討会」座長に就任)、東京大学名誉教授の御厨貴氏、そして鎌田館長と、多彩な登壇者により活発な議論が交わされました。


ファシリテーター 小幡 純子 公文書管理委員会委員長、パネリスト 田中 隆之 読売新聞東京本社常務取締役総務局長・関連会社担当、パネリスト 御厨 貴 東京大学名誉教授、 パネリスト 鎌田 薫 国立公文書館館長

 国立公文書館の役割・意義について、鎌田館長は「当館は、公文書の保存・利用を通じて、国民に対する説明責任を果たす、我が国の歴史文化、政策決定の特色を客観的に研究する資料を提供する、この国の形を浮かび上がらせていく、といったことに寄与する」と説明。田中氏は「新聞記者にとって公文書は常に取材の対象だ。公文書は、作る時には細心の注意を払うが、保存、管理、公開に対する視点が欠落してしまう。この文化は変えていかなければならない」と課題を指摘しました。さらに御厨氏は、「公文書が作り出す世界は、とても大きく広い。公文書は歴史のジグソーパズルのピースの一つで、ほかの文書と突き合わせてようやくパズルが大きくなり、一つの絵になっていく。そうした経験ができるのが、公文書館を利用する一番の喜び」と研究者の視点からの思いを語りました。

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国立公文書館開館50周年記念式典の様子


 また、新館に対して、御厨氏は「小学生くらいから公文書館に何度も足を運んで、昔の資料を見るということや公文書の意味を自然に学ぶ場にしてほしい」、田中氏は「訪日された方々にも日本の歴史を味わってもらえるナショナルモニュメントとして位置づけられるのでは」と述べ、世代や国を超えて親しまれる施設への期待を強調。
 最後に小幡氏が「来たるデジタル社会においても、公文書の作成から移管まで、一連のプロセスがより効率的に進められ、永久保存が確実に行われるような道筋をしっかり示していくことが必要。幅広い世代が足を運びたいと思えるような魅力的な新しい公文書館を実現してほしい」と語り、パネルディスカッションを締めくくりました。