激動幕末 −開国の衝撃−トップへ

ここから本文

9.海防臆測かいぼうおくそく

異国船の来航とアへン戦争の衝撃は、攘夷の風潮を促し、海防強化の緊急性を認識させると同時に、さまざまな知識人にそれぞれの対応策を考案させました。

幕府の従来の外交方針に疑問を抱いたのは、蘭学者や攘夷思想家たちばかりではありません。「寛政の三博士」の一人古賀精里(こがせいり)の三男で幕府の儒者を務めた古賀侗庵(こがどうあん 名は煜(いく)。1788-1847)もまた、渡辺崋山や高野長英らとの交際を通じて知見を深め、独自の開国論を展開しています。

『海防臆測』で侗庵は、国土が狭いイギリスが、海軍力によって世界の強国になりアジアの大国清を蹂躙した事実に注目し、イギリスを範とし清国を反面教師にせよと論じています。またキリスト教を恐れるあまり鎖国政策を続けるのは時代遅れで、日本はむしろ海軍力を強化して積極的に海外に乗り出し、貿易で国を富ますべきであるとも述べています。天保9年(1838)成立。全2冊。

海防臆測

ボタンをクリックすると資料画像が表示されます

本文ここまで




ページここまで