「国際アーカイブズの日」記念講演会報告
国立公文書館では、平成24年6月8日(金)、東京都において「国際アーカイブズの日」記念講演会を開催しました。
「国際アーカイブズの日」記念講演会は、平成19年11月に、国際公文書館会議(ICA)(1948年6月9日、ユネスコの支援を得て設立)が設立60周年を記念して、6月9日を「国際アーカイブズの日」と定め、加盟各国において記念行事等の開催を呼びかけてきたことに呼応し、平成20年度から開催しています。
講演会には、国及び地方が設置する公文書館、内閣府、アーカイブズ関係機関等から約130名の参加がありました。
講演会の冒頭、当館高山館長から、平成23年年11月に開催した国際公文書館会議東アジア地域支部(EASTICA)第10回総会及びセミナーへの参加の御礼と、来る8月に開催される第17回国際公文書館大会(ICAブリスベン大会)の紹介がなされました。続いて、電子政府化への対応などを含めたこの10年ほどの公文書館をめぐる環境の変化や、昨年の「公文書等の管理に関する法律」の施行を踏まえ、当館としては、歴史公文書等の適切な移管、保存、利用を図るとともに、公文書管理に携わるあらゆる職員の理解促進と資質の向上、そのための研修の拡充、デジタルアーカイブの一層の充実、関係機関との連携の強化など各般の業務の推進に努める旨を表明しました。さらに、東日本大震災という未曾有の災害に対する国の諸活動の記録について、後世の国民にしっかりと残すためには、公文書に関わる全ての方々の認識と不断の努力が必要であることを、参加者に強く訴えました。
【講演】
放送大学の御厨貴教授からは「記憶と記録―震災、復興、公文書管理―」と題し、震災の記憶をどのように記録化すべきか、これを機に記録のあり方をどう考え直すべきなのかについてご講演いただきました。
引き続き、東京学芸大学の大石学教授からは「江戸時代のアーカイブズ政策」という題で、文書主義時代といわれる江戸時代における江戸幕府による公文書の保存・利用システムの整備など、アーカイブズ政策の実態と意義について、8代将軍吉宗の享保改革を中心にご講演いただきました。