昭和21年は「新日本建設に関する詔書」で幕を開けます。冒頭に五箇条の御誓文が掲げられたこの詔書では、国民との間の紐帯は「終始相互の信頼と敬愛とに依りて結ばれ、単なる神話と伝説とに依りて生ぜるものに非ず」と述べられており、天皇の人間宣言の詔書とも呼ばれています。
この年、昭和20年産米の凶作と輸入食糧の途絶等により、食糧危機は深刻でした。前年から300万トンの食糧支援を連合国側に要請していましたが、その実現のめども立っておらず、5月9日付の内務省警保局「食糧危機の実情と問題の重点」には、「食糧は正に危機寸前である。・・・各地に暴動の前兆ともいうべき事態が現れて居る。只一般の国民が煽動に躍らないのは日本人の自制心のみが支えて居るに過ぎない」とあります。
5月22日に成立した吉田内閣の和田博雄農林大臣が、食糧輸入の見透しと輸入食糧の放出について帝国議会で報告したのは、帝国憲法改正が審議された第90回帝国議会の開会直後、6月22日のことでした。25日にはその詳細を報告しています。