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大名の「花押」

当館所蔵の「多聞櫓文書」(江戸城多聞櫓内に残されていた幕府の公文書類)のなかには、幕末期に大名から幕府に差し出された書状が多数含まれています。これらの書状によって、私たちは当時の大名がどのような花押(かおう)を用いていたかを知ることができます。

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  • 松平能登守乗命(まつだいら・のりとし)
  • 溝口主膳正直溥(みぞぐち・なおひろ)
  • 松平肥後守容保(まつだいら・かたもり)
  • 松平(前田)飛騨守利鬯(まつだいら(まえだ)・としか)
  • 松平左京大夫頼英(まつだいら・よりひで)
  • 加賀中納言(前田)斉泰(まえだ・なりやす)
  • 森伊豆守俊滋(もり・とししげ)
  • 松平讃岐守頼聡(まつだいら・よりとし)
  • 毛利淡路守元蕃(もうり・もとみつ)
  • 森越中守忠徳(もり・ただのり)
  • 松平下総守忠誠(まつだいら・ただざね)
  • 六郷兵庫守政鑑(ろくごう・まさかね(別・まさあきら))
  • 水野左京大夫忠寛(みずの・ただひろ)
  • 松平主計頭直哉(まつだいら・なおとし)
  • 松平(毛利)大膳大夫慶親(まつだいら(もうり)よしちか)
  • 松平淡亭信豪(まつだいら・のぶひで)
  • 松平(柳沢)甲斐守保申(まつだいら(やなぎさわ)やすのぶ)
  • 松平(前田)稠松利同(まつだいら・としあつ)
  • 分部若狭守光貞(わけべ・みつさだ)
  • 米倉丹後守昌吉(よねくら・まさこと)
  • 米津伊勢守政明(よねきづ・まさあき)
  • 松平越中守定敬(まつだいら・さだあき)
  • 脇坂淡路守安斐(わきさか・やすあや)
  • 松前伊豆守崇広(まつまえ・たかひろ)
  • 松平摂津守忠恕(まつだいら・ただゆき)
  • 松平佐渡守直巳(まつだいら・なおおき)
  • 毛利安房守高泰(もうり・たかやす(別・たかよし))
  • 松平謙翁乗全(まつだいら・のりやす)
  • 松平(山内)容堂豊信(まつだいら(やまうち)とよしげ)
  • 松平山城守信庸(まつだいら・のぶつね)
  • 三浦備後守弘次(みうら・ひろつぐ)

*拡大画面の記述は、【上段】が大名(老公を含む)の姓名の読み。【下段・左】は藩名とその石高。【下段・右】は藩主就任の年と退任の年。ただし明治2年(1869)の版籍奉還後、同4年(1871)の廃藩置県までの知藩事(ちはんじ)の在任期間も含めています。

花押は、判・書判(かきはん)・押字(おうじ)とも呼ばれる図案化された署名(サイン)のこと。花押にはさまざまな形状や様式がありますが、ここで紹介するのは、花押の輪郭を印章にして押したのち、輪郭の内側を墨で塗った籠字(かごじ)式の花押型です。輪郭をはみ出さぬように細心の注意をして墨を塗る、まるで塗り絵のような花押は、江戸時代に入って流行しました。それにしても何故このような花押が作成されたのでしょうか。将軍など貴人に対する尊崇の念を表するために、ことさら手間の掛かる方法が用いられたと思われます。


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