1.国民生活に関する世論調査(第6回 昭和38年6月) 2.国民生活に関する世論調査(第7回 昭和39年7月)
高度経済成長下において、国民の生活水準は次第に向上し、生活様式も大きく変化しました。「三種の神器」と呼ばれた白黒テレビ・冷蔵庫・洗濯機をはじめとする家庭電化製品が普及したのは、その代表的な事例です。また、都市部の人口が急増し住宅需要に応えるため、郊外には大規模な団地が造成されました。
資料1は、昭和38年(1963)6月に政府がまとめた国民生活に関する世論調査の概要報告です。世帯収入の増加やテレビなど家庭電化製品の普及により生活水準が向上している一方、急激な経済成長で生じた消費者物価の上昇に国民生活が圧迫されていることが読み取れ、食品の値上がりを中心に生活の不満を抱える国民が多いことが指摘されています。
資料2は、昭和39年(1964)7月に政府がまとめた国民生活に関する世論調査報告書です。結果の概要の冒頭には、「中流意識の拡大と生活についての満足感」という項目が建てられ、いわゆる中流意識を持つ国民が約9割となった一方で、現在の暮らしに満足している国民は約6割にとどまり、「生活内容の向上に伴つて、欲求水準も高まつたためと考えられる」と分析しています。
資料1
資料2
1.資料1では、耐久消費財として、洗濯機や冷蔵庫、掃除機などの家庭電化製品やミシンが挙げられています。これらの製品が家庭に普及すると、暮らしのあり方にどのような違いが生じるだろうか。これらの製品がない場合と比較して考えてみよう。
2.資料2で指摘されている「中流意識」とは、どのような意識を指しているか、資料を読み説明してみよう。また、暮らしに関する現在の国民意識と比較し、共通点や相違点を考えてみよう。
3.大半の国民が「中流意識」を持つ社会が形成されるためには、どのような条件が必要か、考えてみよう。
4.多くの国民が物価の上昇が続くと認識し、政府にその対策を求めているという調査結果を手がかりに、当時の国民生活はどのような状態にあったと考えられるか、まとめてみよう。
本資料は、『閣議・事務次官等会議資料』という資料群に収録されています。『閣議・事務次官等会議資料』は、昭和21年(1946)以降の閣議,事務次官等会議の資料を開催日順に綴ったものです。
資料1
| 資料名 | 国民生活に関する世論調査 |
|---|---|
| 請求番号 | 平14内閣02076100 |
| デジタルアーカイブ | https://www.digital.archives.go.jp/item/5141786 |
資料2
| 資料名 | 国民生活に関する世論調査 |
|---|---|
| 請求番号 | 平14内閣02314100 |
| デジタルアーカイブ | https://www.digital.archives.go.jp/item/3793834 |
国民生活に関する世論調査
(第6回 昭和38年6月)
(表紙)
国民生活に関する世論調査
概 要 報 告
昭和38年6月
内閣総理大臣官房広報室
(中略)
§ 調 査 結 果
Ⅰ 結果の概要
1.生活状態
国民の生活水準は、世帯収入、貯蓄、耐久消費財の保有を中心とする生活内容の向上などの面からみて、一層上昇しつつあるといえる。
他面生活水準向上の欲求についてみれば、収入・生活程度ともに前回より高い水準を望むものが増加している。生活の向上を望んでいる面としては住居と耐久消費財を上げるものがもつとも多いが、耐久消費財に対する欲求はほぼ満たされつつあるのに対し、住居に対する要望の実現はかなり困難のようである。
向上を望んだもの
めたもの
望むもの
2.生活不満
収入や衣、食、住の各々について不満を持つものはいずれも昨年よりやや減少し、生活全般について見た場合に不満を持つものも若干減少している。
食についての不満をのべるものは減少したとはいえ昨年に引きつづき過半数を占め、その大多数は食品の値上りについてのべている。
暮し向きについては"一年前と同じようなもの"というものが過半数をしめ"楽になつた"というものよりは"苦しくなつた"というものの方が多く、この結果は前回調査と比べ変化がない。
満の内容
いての不満感
3.生活不安
生活不安については生活状態、生活不満の時のようなはつきりした傾向は見られない。
即ち、現在の生活についてなんらかの不安を述べたものは55%で、内容としては"物価高収入が少ない"などの不安を述べるものが最も多く25%を占めるが、この結果は前回と殆んど変化がない。
次に2,3年先の暮し向きや職業の将来について見ると、明るい見通しをもつものは前回に比べて僅かながら増加しており、暗い見通しをもつものは減少の傾向を示している。
将来の生活についての不安の程度を見ると明らかに不安を表明するものは昨年に比べ32→36%とわずかながら増加している。
また「思いがけない出来事で出費がかさんでも生活にさしつかえない」というものは3割で、この結果は前回と殆んど変化がない。
4.社会保障制度、公共施設に対する要望
社会保障制度を今より以上充実することを強く望むものは減少する傾向にある。たゞ老後の保障については漸増している。
公共施設の充実については、道路の充実を望むものが最も多い。
昨年と比べると交通機関・郵便については不満要望を述べたものはかなり減少し、他方下水道についての要望は増加しつゝある。
について
5.物価についての見通しと政府に対する要望
これから先の物価の見通しについては"上がる"というものが、前回よりかなり増加し69%を数えている。政府に対する要望としては「物価抑制」を望むものが最も多い。
(以下略)
国民生活に関する世論調査
(第7回 昭和39年7月)
(表紙)
調 査 報 告 書
国民生活に関する世論調査(第7回)
昭和39年7月
内閣総理大臣官房広報室
(中略)
§ 結 果 の 概 要
概 括
○中流意識の拡大と生活についての満足感
自分の家は世間一般の中で「中」ぐらいの生活をしていると思うものが著しく増加して約9割、「中の中」以上と思うものだけで約6割に達した。
しかし、現在の暮しに満足しているかどうかをみると、一おう満足しているものは6割でほとんどかわりない。
生活内容の向上に伴つて、欲求水準も高まつたためと考えられる。
○生活向上と暮し向き
この一年間に生活内容が向上したものは昨年より増加し(44%→49%)、今後の生活程度についても明るい見通しをもつもの(25%)の方が、暗い見通しをもつもの(10%)より多い。
他方、暮し向きは一年前より"苦しくなつた"という感じをもつものが、昨年より増加し(23%→31%)、物価に対する不満をもつもの(35%→40%)、物価対策を望むもの(46%→49%)が増加している。
(以下略)







