日本国との平和条約及び関係文書・御署名原本
昭和26年(1951)9月4日に調印したサンフランシスコ平和条約は、昭和27年4月28日に発効しました。これにより、連合国軍による占領は終結し、日本の独立が回復しました。
本資料は、サンフランシスコ平和条約の公布原本です。この平和条約で、日本は朝鮮の独立を認め、台湾・南樺太・千島列島を放棄するとともに、沖縄・奄美・小笠原の各諸島についてはアメリカによる統治が継続することになりました。また、日本は後に東南アジア諸国との間で個別に協定や条約を結び賠償を支払いましたが、アメリカをはじめとする連合国の多くは、この平和条約により日本に賠償を求めないこととしました。
(※本資料の書下しは、現代仮名遣いで表記しています。)
1.資料を読み、条約第1条から第3条の内容を整理した上で、地図を用いて、平和条約の発効後に日本の主権が及ぶ範囲を確認してみよう。また、気が付いたことをまとめてみよう。
2.平和条約において、連合国が日本に対する賠償の請求権を放棄するという規定には、どのような理由があったか、調べてみよう。また、このことは当時の日本にとってどのような意味を持ったか考えてみよう。
3.平和条約第11条にある「極東国際軍事裁判所並びに日本国内及び国外の他の連合国戦争犯罪法廷の裁判」とは、具体的にどのようなものであったか、調べてみよう。
本資料は、サンフランシスコ平和条約(日本国との平和条約)の公布原本(御署名原本)です。『御署名原本(昭和22年5月3日以後)』という資料群に収録されています。
『御署名原本(昭和22年5月3日以後)』は、昭和22年(1947)から昭和54年(1979)までの憲法,法律,条約,勅令,政令,予算等の公布原本で構成されています。
| 資料名 | 日本国との平和条約及び関係文書・御署名原本・昭和二十七年・条約第五号 |
|---|---|
| 請求番号 | 御34667100 |
| デジタルアーカイブ | https://www.digital.archives.go.jp/file/680792 |
日本国との平和条約及び関係文書・御署名原本
日本国との平和条約及び関係文書をここに公布する。
(御名御璽)
昭和二十七年四月二十八日
内閣総理大臣 吉 田 茂
条約第五号
日本国との平和条約
連合国及び日本国は、両者の関係が、今後、共通の福祉を増進し且つ国際の平和及び安全を維持するために主権を有する対等のものとして友好的な連携の下に協力する国家の間の関係でなければならないことを決意し、よって、両者の間の戦争状態の存在の結果として今なお未決である問題を解決する平和条約を締結することを希望するので、
日本国としては、国際連合への加盟を申請し且つあらゆる場合に国際連合憲章の原則を遵守し、世界人権宣言の目的を実現するために努力し、国際連合憲章第五十五条及び第五十六条に定められ且つ既に降伏後の日本国の法制によって作られはじめた安定及び福祉の条件を日本国内に創造するために努力し、並びに公私の貿易及び通商において国際的に承認された公正な慣行に従う意思を宣言するので、
連合国は、前項に掲げた日本国の意思を歓迎するので、
よって、連合国及び日本国は、この平和条約を締結することに決定し、これに応じて下名の全権委員を任命した。これらの全権委員は、その全権委任状を示し、それが良好妥当であると認められた後、次の規定を協定した。
第一章 平和
第一条
(a) 日本国と各連合国との間の戦争状態は、第二十三条の定めるところによりこの条約が日本国と当該連合国との間に効力を生ずる日に終了する。
(b) 連合国は、日本国及びその領水に対する日本国民の完全な主権を承認する。
第二章 領域
第二条
(a) 日本国は、朝鮮の独立を承認して、済州島、巨文島及び欝陵島を含む朝鮮に対するすべての権利、権原及び請求権を放棄する。
(b) 日本国は、台湾及び澎湖諸島に対するすべての権利、権原及び請求権を放棄する。
(c) 日本国は、千島列島並びに日本国が千九百五年九月五日のポーツマス条約の結果として主権を獲得した樺太の一部及びこれに近接する諸島に対するすべての権利、権原及び請求権を放棄する。
(d) 日本国は、国際連盟の委任統治制度に関連するすべての権利、権原及び請求権を放棄し、且つ、以前に日本国の委任統治の下にあった太平洋の諸島に信託統治制度を及ぼす千九百四十七年四月二日の国際連合安全保障理事会の行動を受諾する。
(e) 日本国は、日本国民の活動に由来するか又は他に由来するかを問わず、南極地域のいずれの部分に対する権利若しくは権原又はいずれの部分に関する利益についても、すべての請求権を放棄する。
(f) 日本国は、新南群島及び西沙群島に対するすべての権利、権原及び請求権を放棄する。
第三条
日本国は、北緯二十九度以南の南西諸島(琉球諸島及び大東諸島を含む。)孀婦岩の南の南方諸島(小笠原群島、西之島及び火山列島を含む。)並びに沖の鳥島及び南鳥島を合衆国を唯一の施政権者とする信託統治制度の下におくこととする国際連合に対する合衆国のいかなる提案にも同意する。このような提案が行われ且つ可決されるまで、合衆国は、領水を含むこれらの諸島の領域及び住民に対して、行政、立法及び司法上の権力の全部及び一部を行使する権利を有するものとする。
(中略)
第三章 安全
第五条
(a) 日本国は、国際連合憲章第二条に掲げる義務、特に次の義務を受諾する。
(i) その国際紛争を、平和的手段によって国際の平和及び安全並びに正義を危うくしないように解決すること。
(ii) その国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使は、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎むこと
(iii) 国際連合が憲章に従ってとるいかなる行動についても国際連合にあらゆる援助を与え、且つ、国際連合が防止行動又は強制行動をとるいかなる国に対しても援助の供与を慎むこと。
(b) 連合国は、日本国との関係において国際連合憲章第二条の原則を指針とすべきことを確認する。
(c) 連合国としては、日本国が主権国として国際連合憲章第五十一条に掲げる個別的又は集団的自衛の固有の権利を有すること及び日本国が集団的安全保障取極を自発的に締結することができることを承認する。
第六条
(a) 連合国のすべての占領軍は、この条約の効力発生の後なるべくすみやかに、且つ、いかなる場合にもその後九十日以内に、日本国から撤退しなければならない。但し、この規定は、一又は二以上の連合国を一方とし、日本国を他方として双方の間に締結された若しくは締結される二国間若しくは多数国間の協定に基く、又はその結果としての外国軍隊の日本国の領域における駐とん[駐屯]又は駐留を妨げるものではない。
(b) 日本国軍隊の各自の家庭への復帰に関する千九百四十五年七月二十六日のポツダム宣言の第九項の規定は、まだその実施が完了されていない限り、実行されるものとする。
(c) まだ代価が支払われていないすべての日本財産で、占領軍の使用に供され、且つ、この条約の効力発生の時に占領軍が占有しているものは、相互の合意によって別段の取極が行われない限り、前記の九十日以内に日本国政府に返還しなければならない。
第四章 政治及び経済条項
(中略)
第十一条
日本国は、極東国際軍事裁判所並びに日本国内及び国外の他の連合国戦争犯罪法廷の裁判を受諾し、且つ、日本国で拘禁されている日本国民にこれらの法廷が課した刑を執行するものとする。これらの拘禁されている者を赦免し、減刑し、及び仮出獄させる権限は、各事件について刑を課した一又は二以上の政府の決定及び日本国の勧告に基く場合の外、行使することができない。極東国際軍事裁判所が刑を宣告した者については、この権限は、裁判所に代表者を出した政府の過半数の決定及び日本国の勧告に基く場合の外、行使することができない。
第十二条
(a) 日本国は、各連合国と、貿易、海運その他の通商の関係を安定した且つ友好的な基礎の上におくために、条約又は協定を締結するための交渉をすみやかに開始する用意があることを宣言する。
(中略)
第五章 請求権及び財産
第十四条
(a) 日本国は、戦争中に生じさせた損害及び苦痛に対して、連合国に賠償を支払うべきことが承認される。しかし、また、存立可能な経済を維持すべきものとすれば、日本国の資源は、日本国がすべての前記の損害及び苦痛に対して完全な賠償を行い且つ同時に他の債務を履行するためには現在充分でないことが承認される。
(中略)
(b) この条約に別段の定がある場合を除き、連合国は、連合国のすべての賠償請求権、戦争の遂行中に日本国及びその国民がとった行動から生じた連合国及びその国民の他の請求権並びに占領の直接軍事費に関する連合国の請求権を放棄する。
(中略)
第十九条
(a) 日本国は、戦争から生じ、又は戦争状態が存在したためにとられた行動から生じた連合国及びその国民に対する日本国及びその国民のすべての請求権を放棄し、且つ、この条約の効力発生の前に日本国領域におけるいずれかの連合国の軍隊又は当局の存在、職務遂行又は行動から生じたすべての請求権を放棄する。
(中略)
以上の証拠として、下名の全権委員は、この条約に署名した。
千九百五十一年九月八日にサン・フランシスコ市で、ひとしく正文である英語、フランス語及びスペイン語により、並びに日本語により作成した。
(全権委員署名略)
(以下略)


















