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解説
書下し
資料名

昭和二十五年七月八日附吉田内閣総理大臣宛連合国軍最高司令官書簡

解説

第2次世界大戦の終結後、朝鮮半島は北緯38度線を境に、南はアメリカによる管理の下で大韓民国(韓国)が、北はソビエト連邦(ソ連)による管理の下で朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)がそれぞれ成立しました。
昭和25年(1950)6月、北朝鮮はソ連の了承を得て韓国を攻撃したことで朝鮮戦争が始まります。アメリカは即座に介入を決め韓国を支援する部隊を派遣し、同年7月には国連安全保障理事会で北朝鮮の侵略が認定されことによりアメリカ軍を中心とする国連軍が結成されました。この間、日本に駐留するアメリカ軍部隊も出動しています。
同年7月8日付で、連合国軍最高司令官ダグラス・マッカーサー(Douglas MacArthur)から吉田茂内閣総理大臣に宛て、「国家警察の予備員」新設と海上保安庁増員を許可する書簡が出されました。本資料は、第3次吉田内閣の次官会議資料綴に収められた同書簡の日本語訳です。
日本政府は、連合国軍最高司令官の許可をうけ、同年8月10日に警察予備隊令を公布・施行し、警察予備隊が新たに設置されました。その後、警察予備隊は昭和27年に保安隊と改称し、昭和29年に自衛隊となりました。
(※本資料の書下しは、現代仮名遣いで表記しています。)

こんな「問い」はいかが

1.連合国軍最高司令官が警察予備隊新設を許可した背景には、どのようなことがあったか、考えられる要因をまとめてみよう。
2.第2次世界大戦の終結後、東アジアの各地域ではどのような対立が起きていたか、整理してみよう。
3.朝鮮戦争が始まったことによって、日本の占領政策や日本社会にどのような影響や変化があったか調べてまとめてみよう。

資料情報

本資料は、『閣議・事務次官等会議資料』という資料群に収録されています。『閣議・事務次官等会議資料』は、昭和21年(1946)以降の閣議,事務次官等会議の資料を開催日順に綴ったものです。

資料名 マック書簡
請求番号 平14内閣00116100
デジタルアーカイブ https://www.digital.archives.go.jp/item/2770709
資料名

昭和二十五年七月八日附吉田内閣総理大臣宛連合国軍最高司令官書簡

昭和二十五年七月八日附吉田内閣総理大臣宛連合国軍最高司令官書簡 拝啓
 情勢の許すかぎりすみやかに日本政府の自主的権限を回復させようとする既定方針に沿って私は日本国内の安全と秩序との維持並びに不法な入国及び密貿易に対する日本の沿岸線の保護に適当な諸取締機関を漸進的に発展させることを考えて来た。
 一九四七年(昭和二十二年)九月十六日附書簡によって私は日本政府の勧告を採択し、新たに三万人の国家地方警察隊を設け、日本の警察隊の総数を一二万五千に増強することを許可した。その当時政府の見解としてはこの勧告され、かつ許可された警察力は将来必要とされる警察力を勝手に決定したものではなく、地方自治という憲法上の原則に合致し、警察上の責任を有効に地方に分散させるという線にそって、近代的且つ民主的な警察制度を建設するための中心たるに充分な数を用意することを目標としたものであって、私もこれに完全に同意した。
 当時許可された警察隊の補充、装備、訓練のためのその後の活動はきわめて円滑に行われた。自治的責任の精神は忠実に守られ、必要な調整は注意深く行われ、警察と一般市民との正しい関係が次第に強化された。この結果今日日本国民は行政のあらゆる段階において法の執行にあたるこの機関につき当然の誇りをもってよいようになった。事実日本では警察力は他の民主的諸国家の大部分においてみられるよりも人口の割合にはるかに少なく、又、一般的な戦後の窮迫、その他の無法状態に陥りやすい悪条件があるにもかかわらず、日本が近隣諸地域にみられる暴動、混乱、無秩序と対照的に平静で落付きをみせていることは組織的な警察の高能率と日本国民の法をよくまもる国民性との両者に負うものであるといえよう。
 この好ましい状態が他の国と同じく法の正当な運用を破壊し、平和と公共の福祉を破壊する機会の到来を狙う不法な少数分子によって挑発されることなく継続することを確実ならしめるためには私は日本の警察制度はその組織と訓練との能率の程度において、民主的社会で公共の福祉を維持するに必要であることが経験によって示されている限度まで高めるに足りるだけの強さに増強することを許される段階に達したと信ずる。
 日本の港湾及び沿岸水域における海上保安に関しては海上保安庁は甚だ満足すべき成果をあげてきたが諸事件の示すところでは日本の長い海岸線を不法な入国や密貿易から守るためには今日法律によって海上保安庁が与えられているより大きな部隊を用いることが必要であることが明かである。
 従って、私は日本政府が七万五千人の国家警察の予備員を新設し、海上保安庁定員の現在許可されている総数に八千人を附加することによってこれを拡張するために必要な諸手段をとることを許可する。現存の機関に対するこれらの増強に必要な本年度内の運営費は一般会計予算の債務償還費にすでに振りむけられている資金のうちから利用しうるであろう。これらの諸措置の技術的部面について、当総司令部の関係各局は、従前と同じく助言と援助とを与えるものである。
敬 具             昭和二十五年七月八日
ダグラス・マッアーサー    吉  田  首  相  殿