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解説
書下し
資料名

自作農創設特別措置法・御署名原本

解説

昭和21年(1946)10月19日、改正農地調整法及び自作農創設特別措置法が公布され、同年末から第2次農地改革が実施されました。改革では、不在地主の小作地及び在村地主の小作地のうち保有限度(都府県は平均1町歩、北海道は4町歩)を超えた土地を国が強制的に買収し、小作農に売却しました。この結果、多くの農家が自作農となり、その一方で地主の社会的影響力や経済力は大きく後退しました。
本資料は、自作農創設特別措置法公布の御署名原本です。自作農創設特別措置法では、国による小作地の強制買収と、それらを小作農に売却することなどが定められています。

こんな「問い」はいかが

1.自作農創設特別措置法では、どのような農地を政府は買収すると定めているか、資料にある第3条第1項及び第2項(※1)を読み、その要点をまとめてみよう。また、第3条第1項の第2号と第3号(※2)でそれぞれ対象とされている「農地の所有者」を比較し、農業従事についてどのような違いがあるか考えてみよう。
2.自作農創設特別措置法第1条にある「耕作者の地位を安定」や、耕作者が「その労働の成果を公正に享受」とは、具体的にどのような状態を指しているか説明してみよう。
3.自作農創設特別措置法第2条を手がかりに、「自作」と「小作」の違いを整理してみよう。また、農地改革において自作農創設がなぜ必要としたか、その理由や背景を考えてみよう。
4.自作農創設特別措置法の条文で表記されている「町歩」(土地の面積を表す単位)とはどれくらいの広さであり、1町歩の田畑では(現在だと)どれくらいの農作物が耕作できるか調べてみよう。

(※1) 第3条第1項は、資料画像3枚目において「第三条 左に掲げる農地は、」で始まる部分です。第3条第2項は、同じく資料画像3枚目において「前項第二号又は第三号に規定する都府県別の面積は、」で始まる部分です。
(※2) 第3条第1項の第2号及び第3号は、第3条第1項に記されている漢数字「二」及び「三」で始まる部分です。

資料情報

御署名原本とは、法律や勅令などを、天皇の裁可を経て公布する際に、御名(天皇の署名)と御璽(天皇の印章)を付して発行する文書の原本を言います。

資料名 自作農創設特別措置法・御署名原本・昭和二十一年・法律第四三号
請求番号 御29513100
デジタルアーカイブ https://www.digital.archives.go.jp/file/142092
資料名

自作農創設特別措置法・御署名原本

 朕は、帝国議会の協賛を経た自作農創設特別措置法を裁可し、ここにこれを公布せしめる。
(御名御璽)
  昭和二十一年十月十九日
内閣総理大臣 吉田茂
司 法 大 臣 木村篤太郎
内 務 大 臣 大村清一
農 林 大 臣 和田博雄
大 蔵 大 臣 石橋湛山
法律第四十三号
   自作農創設特別措置法
第一条 この法律は、耕作者の地位を安定し、その労働の成果を公正に享受させるため自作農を急速且つ広汎に創設し、以て農業生産力の発展と農村における民主的傾向の促進を図ることを目的とする。 第二条 この法律において農地とは、耕作の目的に供される土地をいふ。  この法律において、自作地とは、耕作の業務を営む者が所有権に基きその業務の目的に供してゐる農地をいひ、小作地とは、耕作の業務を営む者が賃借権、使用貸借による権利、永小作権、地上権又は質権に基きその業務の目的に供してゐる農地をいふ。
前項の規定の適用については、耕作の業務を営む者の同居の戸主若しくは家族又は耕作の業務を営む者の戸主若しくは家族で命令で定める特別の事由に因りその者と同居しなくなつたものが有する同項に掲げる権利は、これをその耕作の業務を営む者の有するものとみなす。
この法律において、自作農とは、自作地に就き耕作の業務を営む個人をいひ、小作農とは、小作地に就き耕作の業務を営む個人をいふ。
第三条 左に掲げる農地は、政府が、これを買収する。 一 農地の所有者がその住所のある市町村の区域(その隣接市町村の区域内の地域で市町村農地委員会が都道府県農地委員会の承認を得て当該市町村の区域に準ずるものとして指定したものを含む。以下同じ。)外において所有する小作地 二 農地の所有者がその住所のある市町村の区域内において、北海道にあつては四町歩、都府県にあつては中央農地委員会が都府県別に定める面積を超える小作地を所有する場合、その面積を超える面積の当該区域内の小作地 三 農地の所有者がその住所のある市町村の区域内において所有する小作地の面積とその者の所有する自作地の面積の合計が、北海道にあつては十二町歩、都府県にあつては中央農地委員会が都府県別に定める面積を超えるときは、その面積を超える面積の当該区域内の小作地  前項第二号又は第三号に規定する都府県別の面積は、その平均面積が同項第二号に規定するものにあつては概ね一町歩、同項第三号に規定するものにあつては概ね三町歩になるやうに、これを定めなければならない。
都道府県農地委員会は、特に必要があると認めるときは、中央農地委員会の承認を得て、当該都道府県の区域を二以上の区域に分け各区域別に第一項第二号又は第三号の都道府県別の面積に代るべき面積を定めることができる。但し、各区域別の面積は、その平均面積が概ね同項第二号又は第三号の当該都道府県別の面積になるやうに、これを定めなければならない。
第五条第七号に規定する農地で命令で定めるものの面積は、第一項第二号又は第三号に規定する小作地又は自作地の面積にこれを算入しない。
第一項の農地の外左に掲げる農地で、都道府県農地委員会又は市町村農地委員会が、命令の定めるところにより、自作農の創設上政府において買収することを相当と認めたものは、政府が、これを買収する。
一 自作農でその者の営む耕作の業務が適正でないものの所有する自作地の面積が第一項第三号の面積を超える場合、当該面積を超える面積の自作地 二 自作地で当該自作地に就いての自作農以外の者が請負その他の契約に基き耕作の業務の目的に供してゐるもの 三 法人その他の団体でその営む耕作の業務が適正でないものの所有する自作地 四 法人其の他の団体の所有する小作地 五 農地で所有権その他の権原に基きこれを耕作することのできる者が現に耕作の目的に供してゐないもの 六 前各号に掲げるものを除く外農地でその所有者が市町村農地委員会に対し政府において買収すべき旨を申し出たもの 第四条 前条の規定の適用については、農地の所有者の同居の戸主若しくは家族又は農地の所有者の戸主若しくは家族で第二条第三項に規定する特別の事由に因りその者と同居しなくなつた者が当該農地の所有者の住所のある市町村の区域内において所有する農地は、これを当該農地の所有者の所有する農地とみなす。  前条第一項の規定の適用については、農地の所有者で第二条第三項に規定する特別の事由に因りその所有する農地のある市町村の区域内に住所を有しなくなつたものは、これを当該市町村の区域内に住所を有する者とみなす。 第五条 政府は、左の各号の一に該当する農地については、第三条の規定による買収をしない。 一 国又は公共団体が公共用又は公用に供してゐる農地 二 都道府県、市町村、都道府県農業会、市町村農業会、農事実行組合、農地開発営団その他命令で定める団体の所有する農地で自作農の創設又は共同耕作の目的に供するもの 三 試験研究又は農事指導の目的に供してゐる農地で地方長官の指定したもの 四 都市計画法第十二条第一項の規定による土地区劃整理を施行する土地又は都市計画による同法第十六条第一項の施設に必要な土地の境域内にある農地で地方長官の指定する区域内にあるもの 五 近く土地使用の目的を変更することを相当とする農地で市町村農地委員会が都道府県農地委員会の承認を得て指定したもの 六 自作農が疾病その他命令で定める事由に因つてその自作地に就き自ら耕作の業務を営むことができないため賃貸借又は使用貸借により一時当該自作地を他人の耕作の業務の目的に供した場合、市町村農地委員会が、その自作農が近く自作するものと認め、且つその自作を相当と認める当該農地 七 新開懇地、焼畑、切替畑等収穫の著しく不定な農地その他命令で定める農地で市町村農地委員会が政府において買収することを不相当と認めるもの 第六条 政府が第三条の規定による買収をするには、市町村農地委員会の定める農地買収計画によらなければならない。  農地買収計画においては、買収すべき農地並びに買収の時期及び対価を定めなければならない。
 前項の対価は、当該農地につき地租法による賃貸価格があるときは、田にあつては当該賃貸価格に四十(農地調整法第六条の三第一項の規定により地方長官の定めた率があるときは、その率)、畑にあつては当該賃貸価格に四十八(同条同項の規定により地方長官の定めた率があるときは、その率)を乗じて得た額(同条同項の規定により地方長官の定めた額があるときは、その額)の範囲内においてこれを定め、当該農地につき地租法による賃貸価格がないときは、市町村農地委員会が地方長官の認可を受けて定めた額による。但し、特別の事情に因つて市町村農地委員会が地方長官の認可を受けて当該農地につき額を定めたときは、その額による。
 市町村農地委員会は、農地買収計画を定めるには、左の事項を勘案してこれをしなければならない。
一 自作農となるべき者の農地を買ひ受ける機会を公正にすること。 二 自作農となるべき者の耕作する農地を集団化し、且つ当該地方の状況に応じて当該農地につき田畑の割合を適正にすること。  市町村農地委員会は、農地買収計画を定めたときは、遅滞なくその旨を公告し、且つ公告の日から十日間市役所又は町村役場において左の事項を記載した書類を縦覧に供しなければならない。 一 買収すべき農地の所有者の氏名又は名称及び住所 二 買収すべき農地の所在、地番、地目(土地台帳の地目が現況と異なるときは、土地台帳の地目及び現況による地目以下同じ。)及び面積 三 対価 四 買収の時期 第七条 前条の規定による農地買収計画に定められた農地につき所有権を有する者は、当該農地買収計画について異議があるときは、市町村農地委員会に対して異議を申し立てることができる。但し、同条第五項の縦覧期間を経過したときは、この限りでない。  市町村農地委員会は、前項の申立を受けたときは、前条第五項の縦覧期間満了後二十日以内に決定をしなければならない。
 前項の決定に対して不服ある申立人は、都道府県農地委員会に訴願することができる。但し、同項の期間満了後十日を経過したときは、この限りでない。
 都道府県農地委員会は、前項の訴願を受理したときは、同項但書の期間満了後二十日以内に裁決しなければならない。
第八条 第六条の規定による農地買収計画につき同条第五項の期間内に前条第一項の規定による異議の申立がないとき、同項の規定による異議の申立があつた場合においてそのすべてについて同条第二項の規定による決定があり、且つ同条第三項但書の期間内に訴願の提起がなかつたとき、又は同項の規定による訴願の提起があつた場合においてそのすべてについて同条第四項の規定による裁決があつたときは、市町村農地委員会は、遅滞なく当該農地買収計画について都道府県農地委員会の承認を受けなければならない。 第九条 第三条の規定による買収は、地方長官が前条の規定による承認があつた農地買収計画により当該農地の所有者に対し買収令書を交付して、これをしなければならない。但し、当該農地の所有者が知れないとき、その他令書の交付をすることができないときは、命令の定めるところにより、第二項各号に掲げる事項を公告し、令書の交付に代へることができる。  令書には、左の事項を記載しなければならない。 一 第六条第五項各号に掲げる事項 二 対価の支払の方法及び時期 三 その他必要な事項  地方長官は、令書の交付又は第一項但書の公告をしたときは、遅滞なく令書の交付又は同項但書の公告の際における買収の目的たる農地につき先取特権、質権又は抵当権を有する者に対してこれを通知しなければならない。但し、先取特権、質権又は抵当権を有する者が知れないとき、その他通知をすることができないときは、命令の定めるところにより、公告をし、通知に代へることができる。 第十条 第三条、第六条及び前条の規定の適用については、農地の面積は、土地台帳に登録した当該農地の地積による。但し、市町村農地委員会が当該農地につき土地台帳に登録した地積を以てその面積とすることを著しく不相当と認め、別段の面積を定めたときは、当該農地については、その面積による。 第十一条 第六条乃至第九条の規定によりした手続その他の行為は、第三条の規定により買収すべき農地の所有者、先取特権者、質権者又は抵当権者の承継人に対してもその効力を有する。 第十二条 地方長官が第九条の規定による手続をしたときは、令書に記載し、又は同条第一項但書の規定により公告した買収の時期に、当該農地の所有権は、政府が、これを取得し、当該農地に関する権利は、消滅する。  前項の規定により政府が取得した農地につきその取得の当時賃借権、使用貸借による権利、永小作権、地上権又は地役権があるときは、その取得の時に当該権利を有する者のために従前と同一の条件を以て当該権利が設定されたものとみなす。但し、その権利の存続期間は、従前の権利の残存期間とする。
 前項の場合において、従前の権利の上に先取特権、質権又は抵当権があるときは、その先取特権、質権又は抵当権は、同項の規定により設定された権利の上にあるものとみなす。
(以下略)