展示会を見に行こう 国立公文書館の所蔵資料が見られる展示会を紹介します。

江戸時代の天皇

 平成31年(2019)は、天皇陛下の御退位と皇太子殿下の御即位が行われます。本展では、この御退位・御即位を記念し、江戸時代の天皇について取り上げます。
 織田信長・豊臣秀吉・徳川家康ら天下人が登場し、それに続く江戸幕府による支配の中で、天皇・朝廷はどのように渡り合い、関係を構築していったのか。光格天皇による朝廷儀式の再興、江戸時代の元号の選定と改元などについて、当館所蔵の絵巻物や公家日記などを中心にご紹介します。

 

礼儀類典

礼儀類典

常陸水戸藩主の徳川光圀みつくにが『大日本史』編纂の過程で、朝廷古来の行事や儀式(朝儀)が衰退している状況を憂慮し、編纂させた書。書名は霊元上皇の命名です。光圀没後の宝永7年(1710)、ときの水戸藩主徳川綱條つなえだから浄書本515巻が幕府へ献上されました。画像は天皇の玉座である高御座たかみくら。展示資料は紅葉山文庫旧蔵。※期間中、2回展示替えを行います。

桜町殿行幸図

桜町殿行幸図

文化14年(1817)3月22日、光格天皇が禁裏御所を出て、上皇の御所である「桜町殿」へ向かう行幸を描いた、上下巻あわせて全長約45メートルに及ぶ長大な絵巻です。天皇の乗物である「鳳輦ほうれん」や、行列見物の人々、京都所司代による警固の様子などが描かれています。※期間中、2回展示替えを行います。

改元物語

改元物語

江戸幕府に儒家として仕えた林家の二代目・鵞峰がほうが、江戸時代初頭の改元に林家がどのように関与してきたのかを記した書です。「寛永」から「延宝」までの改元に至る幕府内部の議論や、元号についての世間の評判などが書かれています。展示資料は太政官正院歴史課・修史局・修史館・内閣臨時修史局旧蔵。

紙に願いを

 当館は有名な民撰議院設立建白書をはじめとしたさまざまな建白書を所蔵しています。明治初年から人びとはそれぞれの思いや願いを込めて建白書を出しました。やがて建白は請願へと移り変わっていき、大日本帝国憲法で、国民の権利として請願権が規定されます。この権利に基づき、国民から帝国議会や行政機関等に対する請願が盛んに行われました。
 本展では、建白・請願の制度的な変遷を追いながら、時代を映し出す建白書や請願書をご紹介します。行政機関が受け付けた建白や請願を通じて、当時の人びとの声をすくいあげ、公文書に含まれている意外な一面を浮かび上がらせます。
 また、天皇への直接的な請願である直訴について、田中正造直訴事件を取り上げ、足尾銅山鉱毒事件関連の資料も展示します。

 

民撰議院設立建白書

民撰議院設立建白書

明治7年(1874)1月17日、板垣退助・後藤象二郎・副島種臣・江藤新平らが左院に提出した建白書とその前文。翌日の「日新真事誌」に建白書の内容が公表されると、大きな反響を呼び、議会開設要求の他、多くの建白がなされるきっかけとなりました。

民撰議院設立建白書