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解説
書下し
資料名

小学教導場ヲ師範学校ト称シ志願者入校ヲ許ス

解説

本資料は、文部省が、師範学校を建設し、小学の教員養成に着手したことが見える資料です。
明治5年(1872)、学制の発行に先だち、文部省は、「小学」で教鞭をとる教員養成のための「教導場」の設置にかかる伺いを4月22日に提出、5月13日に許可が下ります。この資料は、それを受けて、この「小学教官教導場」を「師範学校」と改称して、教員を目指す者の募集を開始したことを示すものです。教員養成は、外国の規則に倣って行うため、外国教師を雇うこと、師範となるもののほか、師範学校付の小学生徒も募集していること、師範学校で学ぶ者は、小学生徒も含め、官費によって学ぶことなどが書かれています。

こんな「問い」はいかが
  • 1.「小学」の教師の養成にあたって、
    • ・教員を養成するための体制を整理してみよう。
    • ・このような教員養成の仕組みを実現するためには、どんなもの、どんなことが必要になるかを考えてみよう。
  • 2.なぜ「外国」を見本にしようとしたのか、考えてみよう。また、このような教員養成の仕組みがうまくいったかどうか、話し合ってみよう。
  • 3.生徒の募集が始まった1か月後、入校にあたって「試験を行う」ことになった理由を考えてみよう。
資料情報

この資料が収録されるのは、『太政類典』という資料です。慶応3年(1867)から明治14年までの太政官日記及び日誌、公文録などから、先例や法令等を選んで浄書したものです。制度、官制、官規、儀制等の19部門に分類し、年代順に編集されているのが特徴です。

資料名 小学教導場ヲ師範学校ト称シ志願者入校ヲ許ス
請求番号 太00468100 (件名番号:043)
デジタルアーカイブ https://www.digital.archives.go.jp/item/1383926
資料名

小学教導場ヲ師範学校ト称シ志願者入校ヲ許ス

小学教官教導場を師範学校と称し、志願の者、入校を許す。
    文部省申牒五年五月十四日
この程相伺いそうろう小学教官教導場の儀、自今師範学校と相唱え、生徒取り立て方に付いては別紙の通り刊行の上、各府県へ布告つかまつるべくそうろう間、この段御聞き届け相成りたくそうろうなり。〈五月十四日〉 指令 伺のとおり 〈五月十五日〉
    文部省布達 〈府県〉
今般、東京において師範学校を開きそうろう。師範学校は、小学の師範たるべきものを教導する所なり。全体人の学問は、身を保つの基礎にして、順序階級を誤らず、才能・技芸を成長するにあり。よりて益々小学を開き、人々をして務めて学に就かしむるの御趣意にそうろうところ、差し向き小学師範たるべき人を養いそうろう儀、第一の急務にこれ有り。且つ、外国においても、師範教育所の設けこれ有るにより、その意を取り、外国教師を雇い、かの国小学の規則を取りて、新たに我が国小学課業の順序を定め、かの成法によりて我が教則を立て、以って他日、小学師範の人を得んと欲す。今、立校の規則を定むること左のごとし。

一  外国人一人を雇い、これを教師とする事。
生徒二十四人を入れ、これを師範学校生徒とする事。
別に生徒九十人を入れ、これを師範学校付き小学生徒とする事。
教師と生徒の間〔に〕、通弁官一人を置く事。
教師、二十四人の生徒に教授するは、一切外国小学の規則を以てする事。
二十四人の生徒は、九十人の小学生徒を六組に分かち、その一組を四人にて受け持ち、外国教師より伝習するところの法により、かのレッテル〔注: letter、文字〕は我の仮名に直し、かのオールト〔注:word、言葉〕は、我の単語に改め、その外(ほか)の習字、会話、口授講義等、一切かの成規により、我の教則を斟酌して、これを小学生徒に授く。右、授受の間、一種良善なる我が小学教則を構成すべき事
二十四人の生徒は、和漢通例の書を学び得たる年齢二十歳以上の者たるべし。しかれども、なるたけ壮者を撰むべき事
生徒はすべて官費たるべき事
但し二十四人は一か月金十円宛(ずつ)、九十人は一か月金八円宛の事
生徒入校成業の上は、他途より出身するを要せず。小学幼年の生徒を教導するを以って事業とすべし。ゆえに生徒入校の節、成業の上、必ず教育に従事すべき証書を出すべき事。
成業の上は、免許を与え、速やかにこれを採用し、四方に分派して小学生徒の教師とすべき事。

右のとおり相定め、師範学校、遠からず開校相成りそうろう間、御趣意を奉認し、生徒たるべき志願これ有る者は、来る七月十日まで、その地方庁を経て、当省へ願い出すべくそうろう事 〈五月日欠〉

  文部省布達
先般師範学校生徒撰み方等の儀に付き、布告中、第七条二十四人生徒云々、左の通り取り直しそうろう間、その旨相心得るべくそうろう事。 〈五年六月七日〉
一 生徒は和漢通例の書及び粗く算術を学びえて、年齢二十歳以上の者たるべし。しかれども、なるたけ壮者を撰むべき事。
  但し、試験の上、入校差し許すべき事。