

小学校令
明治19年(1886)4月10日、森有礼(1847~1889)文部大臣のもとで小学校令が公布されました。小学校令では小学校を尋常小学校と高等小学校の二段階とし、尋常小学校の普通教育の4年間を義務制としましたが、無償ではなく、課題を残すものでした。
小学校令はこの後、明治23年(第二次小学校令)と33年(第三次小学校令)に、それぞれ全面改正されます。
1. 現在の小学校と同じこと、違うことを整理してみよう。
2. 文部大臣が決める部分と、府知事/県令が決めることが出来た部分とを整理してみよう。
さらなる探究のために
・「2」で整理したものを使って、文部大臣が権限を持ったこと、府知事/県令が権限を持ったことの意味を考えてみよう。
本資料は、公布された小学校令の「御署名原本」の一部です。御署名原本とは、法律や勅令などを、天皇の裁可を経て公布する際に、御名(天皇の署名)と御璽(天皇の印章)を付して発行する文書の原本を言います。
資料名 | 小学校令 |
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請求番号 | 御00016100 |
デジタルアーカイブ | https://www.digital.archives.go.jp/item/153205 |
小学校令
小学校令
第一条 小学校を分かちて高等・尋常の二等とす。
第二条 小学校の設置区域及び位置は、府知事県令の定むるところに依る。
第三条 児童六年より十四年に至る八か年を以って学齢とし、父母後見人等はその学齢児童をして普通教育を得せしむるの義務あるものとす。
第四条 父母後見人等はその学齢児童の尋常小学科を卒わらざる間は、就学せしむべし。その就学に関する規則は、文部大臣の認可を経て府知事県令の定むる所による。
第五条 疾病家計困窮その他やむを得ざる事故により児童を就学せしむることあたわずと認定するものには、府知事県令、その期限を定めて就学猶予を許すことを得。
第六条 父母後見人等は、小学校の経費に充つるため、その児童の授業料を支弁すべきものとす。その金額は府知事県令の定むる所による。
第七条 寄付金及びその他の収入金ありて、小学校の経費に供するときは、その収入及び支出の方法は、府知事県令の定むる所による。
第八条 授業料及び寄付金等をもって小学校の経費を弁じあたわざる場合においては、区町村会の議決により区町村費よりその不足を補うことを得。
第九条 小学校教員の俸給・旅費は府知事県令の定むる所による。
第十条 小学校資金の収入及び支出は、その管理者より毎三か月府知事県令に報告すべし。
第十一条 小学校に属する資産の管理に関する規程は、府知事県令の定むる所による。
第十二条 小学校の学科及びその程度は、文部大臣の定むる所による。
第十三条 小学校の教科書は、文部大臣の検定したるものに限るべし。
第十四条 私立学校において、小学校と均しき普通教育を児童に施さんとするものは、あらかじめ府知事県令の認可を経るべし。
第十五条 土地の情況によりては、小学簡易科を設けて尋常小学科に代用することを得。ただしその経費は区町村費をもってこれを支弁すべし。
第十六条 小学簡易科教員の俸給は、地方税をもってこれを補助することを得。