

東京横浜間鉄道横切道通行者心得
鉄道開業を目前にした明治5年(1872)5月、「汽車」が町中を通過するにあたって、東京府が出した布告文です。当人や乗客の人命にかかわるため、汽車が走っているときには線路をさえぎったり、線路付近をうろうろしたりしない、荷物には注意する、「横切道」に汽車が近づくのが見えればしばらく待って往来する、「道の辻々に掲示」の制札に書かれたことをよく守る等が書かれています。
1.「布達」とはどのような文書のことだろう。また、どのような形で情報を伝えようとしていただろう。
2.「横切道」とは何のことだろう?
3.なぜこのような布達が必要だったかを、考えてみよう。
この資料が収録されるのは、『太政類典』という資料です。慶応3年(1867)から明治14年までの太政官日記及び日誌、公文録などから、先例や法令等を選んで浄書したもので、制度、官制、官規、儀制等の19部門に分類し、年代順に編集されています。
資料名 | 東京横浜間鉄道横切道通行者心得 |
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請求番号 | 太00403100 (件名番号:002) |
デジタルアーカイブ | https://www.digital.archives.go.jp/item/1390882 |
(参考)東京都公文書館所蔵 「町触(鉄道運転開始につき心得 明治五年五月四日)」
https://www.soumu.metro.tokyo.lg.jp/01soumu/archives/0703kaidoku12.htm#m2
東京横浜間鉄道横切道通行者心得
(明治)五年五月四日
東京横浜間鉄道横切道通行の者心得方
東京府布達(1)
今般、東京横浜の間、鉄道落成、日ならず運転相開きそうろうに付いては万一汽車発進中に線路遮行、あるいは彷徨徘徊、または荷物落遺、これ有りそうらいては、その者の損傷のみならず、汽車の障害無数、乗車の人命に関係いたしそうろう間、以来は線上横切り道に汽車近付くを見受けそうらわば、暫時待合、通車後に往来致すべく、且つ連日数度通車往来の儀にそうろう間、老人小児そのほかとも、この旨篤と相心得、線路は横切るなかれ。道の辻々に掲示いたし置きそうろう制札(2)の趣、厚く相守り、自他の危害生ぜざる様致すべきこと。
(1)布達:行政命令のこと
(2)制札:禁止の事項や布告などを書いて、道端などに立てた掲示。