

婦人参政権ニ対スル各層ノ意嚮聴取ニ関スル件(第一報)
この資料は、神奈川県知事から内務大臣に提出された、女性参政権に関する意識調査にかかわる報告書の一部で、「政界」・「一般」・「婦人層」の別に、神奈川県が実施した意見聴取の結果が記載されています。
1.政界、一般、婦人層のそれぞれが持つ、「婦人参政権」に対する意見はどのようなものだろう。また、それぞれに対し、自分の意見をまとめてみよう。
本資料は、「米国から返還された公文書」に含まれる資料です。この資料群は、昭和20年(1945)の終戦にあたり、連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)により、戦争裁判の証拠資料収集のため、軍部や行政機関から接収されたものが、昭和31年に返還されたものです。内務省関係資料には、ケースに青い付箋が貼られていたことから、「返青」と通称されています。
資料名 | 婦人参政権ニ対スル各層ノ意嚮聴取ニ関スル件(第一報) |
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請求番号 | 返青34002000 |
デジタルアーカイブ | https://www.digital.archives.go.jp/item/1724082 |
婦人参政権ニ対スル各層ノ意嚮聴取ニ関スル件(第一報)
特秘発第三号
年月日 九月二十七日
知事名
警察部長
内務大臣宛
婦人参政権に対する各層の意向聴取に関する件(第一報)
要旨
一、政界
去る十一日の調査会においては婦人参政権が論議されたが、今度はマッカーサー司令部の司令もあり、女政治家が出現するかも知れぬが、政治的意識訓練のない日本婦人が参政権を得ても大なる希望は持てず、また日本家族制度から見て時期未だ尚早である。
ニ、一般
日本婦人は政治等には無智であり無関心であるものに、参政権を与えたところで仕方がない。これが実現すれば、無産党の考えて居る様な事とは逆な効果が生ずると考えるが、与えるとすれば日本的なものを忘れず男女同権という米英流の婦人たらしめず。日本婦人の自覚に基づく参政権でありたい。
三、婦人層
参政権は日本では早い。家族制度の立前からしても直接婦人が政治参与は良くない。日本婦人は古来より子女教育と夫に対する内助とが家庭内における本分であり、これが淳風美俗であるから、政治は主人に任せ活動してもらう方が良い。現在の婦人には政治的には勿論文盲の多い所から参政権を与えられたとしても期待はできない。
標記婦人参政権問題に関し、管下各層(有識者)よりこれが意向聴取するに大要々旨のごとくにしてその主なる意向右記の通りにこれあり。
右、申報に及びそうろうなり。 記
以下、各署報告書中より転載のこと。