

地方自治制改正ノ請願ノ件
資料は、大正13年(1924)12月結成の婦人参政権獲得期成同盟会の総務理事、久布白落美らが、大正14年に提出した、市町村、道府県における政治に女性が参与することを求める地方自治制改正の請願に対する、閣議での対応案です。若槻礼次郎内務大臣から「現今一般婦人の能力は未だこれが公務に参与するに十分とは言えない」として、請願を採用しない旨が閣議に諮られ、閣議決定されています。
1.請願とはどのような行為をいうのか、調べてみよう。
2.請願の代表者である「久布白落実」について、調べてみよう。
3.「久布白落実」らによる主張を整理してみよう。
4.当時の政府が、「婦人」が地方政治に参画することについてどのように考えていたかを整理してみよう。また、それについてどう考えるか、自分の意見をまとめてみよう。
本資料は、『公文雑纂』という資料に収録されたものです。『公文雑纂』は、内閣が作成・収受した明治19年(1886)から昭和25年(1950)までの資料が含まれる、3,000冊を超える資料で、『公文録』や『公文類聚』に収録された条規や典例等に関わる公文書の原本以外の公文書が編冊されたものと考えられています。ここで紹介する資料が含まれる簿冊には、大正13年から14年にかけて受け付けられた多様な請願と閣議における回答案が残されています。
資料名 | 地方自治制改正ノ請願ノ件 |
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請求番号 | 纂01720100 (件名番号:032) |
デジタルアーカイブ | https://www.digital.archives.go.jp/item/2433429 |
地方自治制改正ノ請願ノ件
地方自治制改正の請願に関する件
東京府豊多摩郡杉並町
久布白落実
外二千四百四十九名呈出
右請願の要旨は婦人も市町村民又は道府県民にしてしかも婦人を中心とする家庭生活と地方自治団体の行政は極めて密接なる関係を有するをもって男子同様に女子に対し市町村及び道府県の公務に参与するの権を附与するよう、制度の改正ありたしというにあり。しかして衆議院はその趣旨を至当なりとしこれを採択すべきものと議決せり。
しかるに市町村及び道府県の公務に参与するの権は適当の能力ある者にこれを附与するを要す。現今一般婦人の能力は未だこれが公務に参与するに充分なりというべからず。よりて本件は今直ちに採用し難し。
右、閣議を請う。
大正十四年九月十二日
内務大臣若槻礼次郎
内閣総理大臣子爵加藤高明殿
意見書
請願文書表第一〇四五号
地方自治制改正の請願 東京府豊多摩郡杉並町高円寺六百八十六番地 士族久布白落実外二千四百四十九名呈出(紹介議員 安藤正純君ほか二名)
右、請願の要旨は婦人の市町村、道府県における政治に参与することは正に理の当然と思惟するをもって以上自治団体の制度中男子同様女子の参政権を公認せられたしというにあり。
衆議院はその趣旨を至当なりと認め、これを採択すべきものと議決せり。よりて議院法第六十五条により別冊御送付に及びそうろうなり。
大正十四年 三月二十四日
衆議院議長 粕谷義三
内閣総理大臣子爵 加藤高明殿
衆議院書記官長 中村藤兵衛