本文へ

家康の寵愛を受けたお梶の方

 家康の側室であったお梶の方(英勝院)は、家康の五女市姫の母で水戸徳川家の祖・頼房の養母です。あるとき家康が大久保忠世や本多正信・鳥居元忠・平岩親吉ら家臣と昔の合戦を語っていたところ、突然家康が「この世で一番美昧いものは何か」と尋ねます。家臣たちが色々と答える中、家康が側で笑っていたお梶の方にも尋ねたところ、「それは塩であり、塩がなければどのような料理も昧を調えられず、おいしくできません」と答えます。さらに家康は「では一番まずいものは何か」と尋ねたところ、「それも塩であり、どんなに美味しいものでも、塩を入れすぎたら、食べることができません」と答えたと言います。家康はこれを聞き、「男子であれば良い大将として活躍するのに惜しいことだ」と嘆いたと言われています。

故老諸談(ころうしょだん) [請求番号: 170-0167]

 ▲写真をクリックすると、拡大画像が表示されます。

 家康に関わる逸話について、聞書や覚書をもとにまとめた書。資料には、お梶の方の逸話が記されています。全2冊。昌平坂学問所旧蔵。