国立公文書館
統括公文書専門官室 研修連携担当
はじめに
国立公文書館(以下「当館」という。)は、令和8年2月5日(木)、6日(金)に、「令和7年度アーカイブズ研修Ⅱ」を開催しました。アーカイブズ研修Ⅱは、「「アーキビストの職務基準書」が示す個別の知識・技能の向上」を目的とし、「特定のテーマに関する講義や共同研究、実習による発展的研修」と位置付けられます。令和7年度は、「電子公文書の管理・保存・利用」をテーマに完全オンラインで開催し、国の機関をはじめ、地方公共団体の公文書館等30機関から43名の参加がありました。本稿は、研修の概要を報告するものです。
1.テーマ選定・研修プログラム検討の経緯
当館では、電子公文書をテーマとしたアーカイブズ研修Ⅱを令和4年度から継続的に実施し、今回で4年目になります[1]。また昨年度に引き続き、受講者同士のグループ討論及び報告を実施しました。当館は、令和7年4月に「電子公文書の作成・保存・利用ガイドブック」(以下「ガイドブック」という。)[2]を公開しました。本ガイドブックは、電子公文書の作成・保存・利用に関する基本的な知識や考え方に関し、公文書館等の担当者を主な対象とし、広く電子公文書の管理に関わる人々の参考に資するよう作成したものです。今回の研修では、ガイドブックも活用しながら、受講者同士が、グループ討論を通じて各機関の制度や取組、課題を共有し、課題解決に向けた方向性、方策について検討してもらうことを意図しました。
併せて、全国の公文書館等の協力を得て、各機関における電子公文書管理等の実態やガイドブックの活用状況等のアンケートを研修前に実施し、グループ討論の参考に資するために、その結果を受講者間に共有しました。
各グループで行われた討論の結果及び当館が実施したアンケートの結果については、今号に掲載していますので、併せてご覧いただけますと幸いです。
2.研修の概要
以上の経緯を踏まえ、今回は下記のとおり2日間のプログラムで研修を実施しました。
令和7年度アーカイブズ研修Ⅱのプログラム
| 2月5日(木) | |
| 講義 電子文書の管理・保存をめぐる基本的考え方 | 創価大学 坂口貴弘 |
| 行政文書の管理におけるデジタル化への対応 | 内閣府 田原太郎 |
| 電子公文書の作成・保存・利用ガイドブックの紹介 | 国立公文書館 篠原佐和子 |
| 事例報告① 大仙市における電子公文書管理の現状と課題 | 大仙市アーカイブズ 蓮沼素子 |
| 事例報告② 長野市の電子文書の収集・保存・公開 | 長野市公文書館 田玉徳明 |
| 2月6日(金) | |
| 自己紹介・グループ討論① | |
| グループ討論②、③ | |
| 報告・総括 | |
1日目は講義、事例報告を中心に実施しました。
まず、創価大学の坂口氏から、「電子文書の管理・保存をめぐる基本的考え方」について講義いただきました。坂口氏には、国際標準化機構(ISO)が発行している電子文書管理に関する国際標準類、アメリカ連邦政府における電子文書管理の要求事項など、最新の標準化活動の動向や成果を踏まえた講義をいただきました。
続いて、内閣府大臣官房公文書管理課の田原氏から、「行政文書の管理におけるデジタル化への対応」について講義をいただきました。田原氏には、「デジタル化への対応に関する公文書管理課長通知」[3]を中心に、国における行政文書の電子的管理、情報システムの検討状況などの最新動向を講義いただきました。
次に、当館の篠原専門職から、「電子公文書の作成・保存・利用ガイドブック」の内容とポイントについて紹介をしました。
最後に、大仙市アーカイブズの蓮沼氏、長野市公文書館の田玉氏から事例報告をそれぞれいただきました。蓮沼氏からは、「大仙市における電子公文書管理の現状と課題」と題して、大仙市における電子公文書管理の課題や展望について、ガイドブックに照らして報告をいただきました。また田玉氏からは、「長野市の電子文書の収集・保存・公開」と題して、長野市における文書管理システムの概況、電子文書の作成、管理、移管、受入れ、評価選別、公開に至るライフサイクルを踏まえて、長野市が抱える電子文書の課題を報告いただきました。
2日目は、受講者によるグループ討論を実施し、各グループから討論の結果を報告してもらいました。ガイドブックで示された「公文書のライフサイクル」に基づき、「電子公文書の作成・取得・整理」、「電子公文書の移管」、「電子公文書の受入れ」、「電子公文書の長期保存」、「電子公文書の利用」というフェーズごとにテーマを設けて、受講者の関心に合わせてグループを分け、討論・報告を実施しました。
おわりに
本研修は、毎年度、各機関にご協力いただいているアンケート結果等を踏まえて、テーマを決めています。4年連続で、「電子公文書」をテーマにしたことは、各機関の関心の高さを示すものと考えています。とりわけ令和7年度はガイドブックが公開されたこともあり、ガイドブックの内容と照らして、受講者同士の情報・意見交換が図れたのではないでしょうか。今後も、研修連携担当一同、充実した研修となるよう図ってまいる所存でおりますので、引き続き、当館の研修連携業務へのより一層の御協力・御指導の程何卒よろしくお願いいたします。最後に、改めまして、お忙しい中、この2日間、講義・事例報告をいただいた皆様、そして本研修を受講いただきました皆様に、お礼申し上げます。
[1]令和4~6年度アーカイブズ研修Ⅱの概要は以下の号をそれぞれ参照。国立公文書館研修連携担当「【令和4年度アーカイブズ研修Ⅱ特集】電子公文書の保存・利用」に関する研修を企画して」『アーカイブズ』第88号、2023年、https://www.archives.go.jp/publication/archives/category/no088、国立公文書館研修連携担当「【令和5年度アーカイブズ研修Ⅱ特集】電子公文書の管理・保存・利用」をテーマにした研修を実施して」『アーカイブズ』第92号、2024年、https://www.archives.go.jp/publication/archives/category/no092、国立公文書館研修連携担当「【令和6年度アーカイブズ研修Ⅱ特集】「電子公文書の管理・保存・利用」をテーマにした研修を実施して」『アーカイブズ』第96号、2025年、https://www.archives.go.jp/publication/archives/no096/17151
[2]国立公文書館「電子公文書の作成・保存・利用ガイドブック」、https://www.archives.go.jp/thinktank/naj_info/digital/guidebook.html
[3]内閣府「デジタル化への対応に関する公文書管理課長通知」、
https://www8.cao.go.jp/chosei/koubun/hourei/hourei.html
