平成28年度アーカイブズ研修Ⅱについて

国立公文書館

1 はじめに

講義風景

講義風景

   平成29年1月17日(火)から1月19日(木)までの3日間にわたり、国立公文書館(以下「当館」という。)では、「平成28年度アーカイブズ研修Ⅱ」を開催しました。
   本研修は、公文書等の保存及び利用に関する特定のテーマに係る共同研究を通じて、公文書館における実務上の問題点等の解決方策を習得させることを目的に毎年開催しているものです。研修のテーマはアンケートで各機関からのご要望の多いものを取り上げており、今年度は、「歴史公文書等の利用に係る審査について」としました。研修の構成は、前半に講義と事例報告を設け、後半は、各自がそれぞれのテーマの中で特に関心を持つトピックを選んでグループに分かれて討論を行います。最終日には、全体討論にて各班の成果を発表しあうこととなっています。
   今年度も、国立公文書館等に指定される機関をはじめ、県、政令指定都市や市が設置する公文書館、県や政令指定都市、市町等の、22機関から28名の参加がありました。

2 講義と事例報告

グループ討論の様子

グループ討論の様子

   本研修では、講義において、まず内閣府大臣官房公文書管理課職員より、公文書管理法における利用と利用制限の考え方の基礎を説明いただきました。また、日本大学法学部の友岡史仁教授から、「情報の公開・利用と個人情報保護-基本的考え方-」と題し、情報公開制度と個人情報保護制度の構造や考え方、近年の両制度をめぐる動向等について、幅広くお話しいただきました。
   事例報告では、神奈川県立公文書館の相澤英之氏、奈良県立図書情報館の松村順子氏、福岡共同公文書館の佐藤浩介氏に、各館における利用審査の仕組みや課題、実際に審査を行った際の判断事例等についてお話しいただきました。併せて、当館より国立公文書館における利用審査の取組みについても報告しました。
   グループ討論は、「審査基準の作成/見直しについて」、「審査基準にもとづく判断について」といった希望するトピックをもとに、3班に分かれて行われました。その後、全体討論の場では、各班の討論の成果として、「事例研究~とあるS市を事例に~」、「審査事務の迅速化」及び「審査基準の在り方と課題」と題して報告があり、さらに質疑応答や意見交換が行われました。
   今号(第64号)では、研修でご講義いただいた友岡教授による「情報公開・個人情報保護制度の運用面における諸課題―現実と新たな動向」の論考と、各班の代表者により報告された討論の内容・成果を掲載しています。

3 まとめ

全体討論の様子

全体討論の様子

   研修終了後に実施したアンケートでは、受講者から、「中々お話できる機会のない各地様々な機関の皆様から具体的かつ率直なお話をお聞きできたこと、また皆様とつながりをもつ機会を得られたことも大変有難いことでした」、「他機関の状況をお聞きできたことで、当館での改善点や課題解決につながることが見えてきました」、「研修で学んだことを活かして、自身の業務を向上させていきたいと思います」といった感想が寄せられました。
   今後も、受講者や所属機関から寄せられた御意見、御要望を踏まえ、参加される皆様にとって実り多い研修となるよう、取組んでまいりたいと思います。