第4回ICA年次会合等参加報告



1.ICA年次会合


 国際公文書館会議(ICA)の第4回年次会合が、2017年11月27日(月)〜29日(水)にメキシコのメキシコシティで開催されました。今回はICAラテンアメリカ地域支部年次会合と同時開催され、中南米を中心に約40ヶ国のアーカイブズ関係者が参加しました。
 >>ICAメキシコ年次会合サイトはこちら(英語)


 専門プログラムでは、「アーカイブズ、市民権、インターカルチュラリズム」を全体テーマとして6本の基調講演が行われた他、「インターカルチュラリズムと祖先の文化」、「人権」、「情報ガバナンス」等、12のサブテーマで約50の分科会が開かれ、170人の発表者が登壇しました。
 >>年次会合専門プログラムはこちら[PDF](日本語)
 >>基調講演者紹介はこちら(英語)


 分科会「アーカイブズ:情報への権利、説明責任及び個人データ保護への試金石」では、当館の福井理事が「日本国立公文書館所蔵資料へのアクセス確保について」と題して発表を行い、利用者に対するサービス向上の取組や新館建設計画について情報発信しました。また、当館の派遣した以下の外部有識者が、地域協力や災害対応に係る近年の日本国内の取組を世界に向けて発信しました。


  • 辻川敦 尼崎市立地域研究史料館長「市民が利用する地域文書館−日本国尼崎市の文書館の事例から−」
  • 熊谷賢 陸前高田市教育委員会生涯学習課副主幹「ふるさとの宝は失われていない〜陸前高田市立博物館における文化財レスキュー」

 また、これら専門的なプログラムと並行して、ICA関係の運営会合が行われました。11月25日(土)にICA執行委員会、11月26日(日)に国立公文書館長フォーラム、そして11月28日(火)にICA通常総会がそれぞれ開催され、理事等が出席しました。


 ICA執行委員会では、他の国際組織との協働プロジェクトに係る報告が行われた他、2018年に予定されているICA役員選挙日程を確認しました。また、カリブ地域のアーカイブズにおけるハリケーン被害に対する今後のICAからの支援、ICAの広報戦略、ICAフェロー制度に係る討議等を行いました。


 国立公文書館長フォーラムでは、国際的なアーカイブズコミュニティにおけるフォーラムの認知向上や、フォーラムとして取り組む課題の優先順位等、フォーラム活性化策について活発な議論が行われました。


 通常総会では、2018年度の予算案及び分担金額案が承認された他、2018年の年次会合の開催国であるカメルーンがプレゼンテーションを行い、「アーカイブズ:ガバナンス、記憶、遺産」をテーマに、首都ヤウンデにおいて11月26日(月)〜30日(金)の日程で開催予定であることが発表されました。続いて、2020年のICA大会(アブダビ)準備の進ちょくに係る報告も行われました。また、デービッド・リーチICA事務総長が退任し、新しくアンセア・セレス博士(イギリス国立公文書館)が事務総長に就任することが報告されました。セレス博士はカナダ出身、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)において情報学で博士号を取得したデジタル記録管理・保存の専門家であり、アーカイブズ領域におけるアフリカ支援にも豊富な経験を有しています。


 11月29日(水)の閉会式では「メキシコシティ宣言(Mexico City Declaration)」が読み上げられ、ソウル・コミュニケ(Seoul Communiqué)(2016年のICAソウル大会において発表)に示された行動指針に則り、公的記録のアクセシビリティ確保のための取組を継続していくこと等を確認しました。


 ICA年次会合に先立ち、理事等が11月26日(日)にメキシコ国立公文書館を視察しました。同館は1792年にスペイン王の命令に基づき設立され、メキシコが新スペインと呼ばれていた頃からの記録を多数所蔵しています。


  • ICA年次会合のウェルカムボード前にて 

    ICA年次会合のウェルカムボード前にて 

  • 監獄を再利用したメキシコ国立公文書館

    監獄を再利用したメキシコ国立公文書館

  • ICA年次会合開会式の様子

    ICA年次会合開会式の様子

  • 専門家プログラムで発表する福井理事

    専門家プログラムで発表する福井理事

2.ユネスコによるプエブラ被災状況調査に参加


  2017年9月19日(火)、メキシコ中部で大規模な地震が発生し、多くの人々や建物が被害にあいました。スペイン植民地時代の建築が多く残り、中心部が歴史地区としてユネスコ世界文化遺産に登録されているプエブラ・デ・サラゴサ市も被災した町の一つです。


 ICA年次会合の開催を機に、ユネスコ・メキシコ事務所により、プエブラの町の記録遺産における被害の実地調査と保存・保護にかかる助言を行うことを目的とする専門家グループが組織され、同事務所の依頼により、陸前高田市の熊谷賢氏と当館職員がメンバーとして参加しました。


  調査は11月30日(木)・12月1日(金)の日程で行われました。専門家グループは、ユネスコ「世界の記憶」に登録されている記録遺産を所蔵するパラフォクシアーナ図書館とプエブラ市公文書館を中心に被害状況や保存環境を調査し、記録遺産保護についての助言を行いました。
 >>調査実施報告はこちら(スペイン語)


  • パラフォクシアーナ図書館内の歴史図書館

    パラフォクシアーナ図書館内の歴史図書館

  • プエブラ市公文書館

    プエブラ市公文書館

※ICA年次会合の詳しい内容は、当館の情報誌web版「アーカイブズ」第67号(2018年2月公開予定)に掲載いたします。