第18回ICAソウル大会報告



※大会基礎情報

 会    期:2016年9月5日(月)〜10日(土)
 主    催:ICA/韓国国家記録院
 全体テーマ:「アーカイブズ、調和、友情:グローバル社会における文化的感受性、正義、連携の確保」
         Archives, Harmony and Friendship: Ensuring Cultural Sensitivity,Justice and Cooperation in a Globalised World
 会    場:Coex(韓国ソウル特別市)
 >> ICAソウル大会に関する情報はこちら

1.参加者数・大会の基本構成

 参加国・地域数:114ヶ国
 参 加 者 数 :2,049人(うち日本からの参加者:67名)

国際公文書館大会は大きく、(1)アーカイブズ等に関する専門プログラムと、(2)ICAや各地域支部の運営に関する諸会合の
2つから構成されています。
 (1)専門プログラム
  ・専門プログラムは、発表とワークショップから構成されており、今次大会では9月6日(火)〜9日(金)各日の朝から夕方まで、
   複数の会場を用いて絶え間なく実施されました。専門プログラムのスケジュールやテーマに関しては、以下それぞれの資料・
   ウェブサイトをご参照ください。
  ・専門プログラム:日本語  [PDF:365kb]/ 英語 [外部サイト]

 (2)ICA・地域支部運営会合
  ・専門プログラムと並行して、ICAの運営に関する会合や当館が議長を務めるICA東アジア地域支部(EASTICA)の運営に関する会合が、
   以下の日程で開催されました。

日程 時間 会合名
9月5日 09:00〜11:30 地域支部議長会合
14:00〜15:20 EASTICA理事会
16:00〜17:15 EASTICA公開フォーラム
9月6日 09:00〜12:30 ICA執行委員会
9月7日 11:45〜13:15 国立公文書館長フォーラム
17:00〜19:00 ICA総会

2.当館役職員・派遣外部講師による発表とワークショップ

 9月6日(火)〜9日(金)にかけて、6つの発表と1つのワークショップを実施しました。
 >>『第18回ICAソウル大会国立公文書館派遣講師 発表資料集』

 実施日程は以下の通りです。
日程 時間 プログラムタイトル・発表者(敬称略)
9月6日 09:00〜12:30 修復ワークショップ「日本における被災文書の復旧」

【第1部 講演】
「日本における最新のレスキュー修復技術」

  高科 真紀(国文学研究資料館 プロジェクト研究員)

【第2部 実演・実習】
「水損資料への対応」

  阿久津 智広/浅場 沙帆/永井 泊(当館業務課修復係)
16:15〜18:15 「国立公文書館の二つのデジタルアーカイブの挑戦」
  波多野 澄雄(国立公文書館 アジア歴史資料センター長)
9月7日 09:45〜11:15 「修復素材としての和紙とその世界への普及」
  増田 勝彦(和紙文化研究会 副会長)
15:00〜16:30 「戦時接収企業資料の整理における日豪協力」
   秋山 淳子(札幌市公文書館 公文書館専門員)
9月8日 11:45〜13:15 「デジタル時代に目指すこれからの公文書管理の姿」
   福井 仁史(国立公文書館 理事/前内閣府大臣官房審議官(公文書管理担当))
9月9日 09:45〜11:15 パネル発表「アーカイブズと災害−東日本大震災から5 年を迎えた日本の対応−」

日本におけるアーカイブズ・レスキュー活動のネットワーク−被災文書の復旧と保存」

  青木 睦(国文学研究資料館 准教授)※

「東日本大震災と原子力発電所事故からの文化財保全への取り組み〜震災から五年を経過して〜」
  三瓶 秀文(福島県富岡町教育委員会 主任学芸員

「日本の国立公文書館による被災公文書等への対応−被災公文書等救援チームを事例に」
  筧 雅貴(国立公文書館総務課 企画法規係長)
11:45〜13:15 「日本的なアーカイブズの伝統とグローバル化時代の新たな要求との調和
 〜アーカイブズの充実に向けた企業と国の取り組み〜」

 加藤 丈夫(国立公文書館 館長)

                                                  ※高科真紀・国文学研究資料館プロジェクト研究員による代読

・各発表においては、概ね40〜110名程度の方にご参加いただきました。会場からは、発表内容に関する具体的な質問が投げられるなど、
 日本のアーカイブズや取り組みに対する関心の高さがうかがわれました。


  • 修復ワークショップ講演(高科真紀氏) 

    修復ワークショップ講演(高科真紀氏) 

  • 吸水乾燥法を実習する参加者

    吸水乾燥法を実習する参加者

  • 波多野澄雄アジ歴センター長による発表

    波多野澄雄アジ歴センター長による発表

  • 李加藤丈夫館長による発表

    加藤丈夫館長による発表

  • 福井仁史理事による発表

    福井仁史理事による発表

  • 増田勝彦氏による発表

    増田勝彦氏による発表

  • 秋山淳子氏による発表

    秋山淳子氏による発表

  • パネル発表に臨む講師3名

    パネル発表に臨む講師3名

3.ICA運営会合
(1)地域支部議長会合(9月5日 / 09:00〜11:30)

  • ICAにある13の地域支部の各議長による会合が行われ、当館の加藤館長及び福井理事が出席しました。
  • 各支部の活動報告が行われる中、EASTICA議長を務める加藤館長より、 1)2015年のEASTICA総会を福岡で開催したこと 2)本ICA大会で
      EASTICA理事会と公開フォーラムを行うこと、3)香港大学と共催で既卒者向けアーカイブズ学講座を開講していることが報告されました。
  • その他、プログラム委員会から各地域支部への補助金受給に関する事柄や、地域支部憲章の標準化とICA憲章との関係などが話し合わ
      れました。

(2)執行委員会(9月6日 / 09:00〜12:30)

  • ICA地域支部の活動に関する最終報告、また関連してICA各地域支部憲章とICA憲章の規定の整合性、2018及び2019年の年次会合
      開催地選定計画、後日行われる総会に向けた事務的事項などが議論されました。
  • あわせて、2016年度の財政状況及び残月の予算執行に関して情報共有が行われるとともに、2017年度予算案に関する議論も行われ
      ました。
  • ICAの新ロゴ及びコミュニケーション戦略が発表された他、新しいICAウェブサイトが立ち上げられました。
  • この他、2017年以降のICAの会合開催地に関して協議が行われました。

(3)国立公文書館長フォーラム(9月7日 / 11:45〜13:15)

  • 「人権・知的所有権・アドボカシー」をテーマとして、いくつかのプレゼンテーションが行われました。
  • その他、当フォーラムの再活性化のために議長選挙を行うこと、また専門家グループの新規創設に関する事柄などが議論されました。

(4)総会(9月7日 / 17:00〜19:00)

  • ICA会長、事務総長、プログラム担当副会長、評価委員会委員長それぞれから、今年度の担当事業とその評価が報告されるとともに、
      人事の変更や2016年度の半期財政報告、2015年度の財政監査報告、2017年予算案が報告され、承認されました。
  • 次回2017年のICA年次会合について、ICAとICAラテンアメリカ地域支部の共催で以下のとおり行われることになりました。

  •  会   期:2017年11月(予定)
     テ ー マ :Archives, Citizenship and Interculturalism (アーカイブズ、市民権、インターカルチュラリズム)
     場   所:メキシコシティ(メキシコ合衆国)

  • 次回2020年の第19回大会の開催地は、アラブ首長国連邦のアブダビに決定しました。
  • また今回初めての試みとして、「ソウル・コミュニケ(Seoul Communique)」[PDF:321kb]が発表されました。David Fricker・ICA会長と
      李相鎭NAK院長がコミュニケを読み上げ、テクノロジーの支配を受けるのではなく、テクノロジーを活用するという方針が拍手をもって
      迎えられました。

  • 総会の様子

    総会の様子

  • ソウル・コミュニケの発表

    ソウル・コミュニケの発表



4.EASTICA関係会合
(1)EASTICA理事会(9月5日 / 14:00〜15:20)

  • EASTICA議長国として、当館の加藤館長及び福井理事が出席しました。議事進行は、EASTICA事務局長の朱福強氏(香港)が担当
      しました。
  • 議題として、EASTICAウェブサイトの運営や香港大学共催のアーカイブズ学講座の受講促進策、新規会員の承認などが話し合われま
      した。また、会計官から会計報告が行われました。
  • 2017年のEASTICA総会を中国で開催する旨が提案され、中国側より了承されました。開催時期や場所について、今後具体化していく
      予定です。

(2) EASTICA公開フォーラム(9月5日 / 16:00〜17:15)

  • EASTICAの今後の活動とあり方について、ICA大会参加者と議論を行うために、初めての試みとして実施されました。
  • まずは、EASTICA事務局長の朱福強氏より、EASTICAのこれまでの歩みについてパワーポイントを使用して紹介しました。
  • その後、参加者と今後の活動や運営の在り方について活発な議論が行われました。他の地域支部との合同会合の開催や若手育成の
      ためのテーマ別ワーキンググループ、特別委員会の創設、防災に関する議論、ソーシャルメディアの活用などが提案されました。

5.その他
(1)国会図書館等視察(9月9日 / 14:00〜19:00)

  • 大会プログラムとして、韓国内のアーカイブズ機関を視察するプログラムが6行程設定され、このうち国会図書館等を視察するプログラムに
      当館職員3名が参加しました。国会図書館においては、職員数や所蔵資料の概要を聞くとともに、展示室や閲覧室を見学しました。

(2)EASTICAブースの設置と広報活動(9月6日〜9日)

  • EASTICAとその構成国・地域の活動を広く知っていただくべく、特設ブースを用いて広報活動を行いました。
  • EASTICAの直近の成果として、2015年に福岡において開催されたEASTICA会合で発表された国・地域別報告をまとめた、East Asian
      Archivesの第22号を配布しました。あわせて当館のデジタルアーカイブやアジア歴史資料センターの概要をまとめたリーフレットを配布し、
      当館に関わる活動全般を内外の参加者にアピールする機会となりました。


※ICAソウル大会の詳しい内容は、当館の情報誌「アーカイブズ」第62号(2016年11月掲載予定)でも紹介いたします。