第43回国際公文書館円卓会議参加報告



国際公文書館円卓会議、57年の歴史に幕



  • 第43回国際公文書館円卓会議(International Conference of the Round Table on Archives, CITRA)が平成23年10月22日から29日まで、スペインのトレドで開催され、約90カ国350名の参加がありました。


  • 今回のCITRAのテーマは、「デジタル世界におけるアーカイブズの存続:21世紀のアーカイブズ保存(Keeping Archives Alive in a Digital World: Archival Preservation in the 21st Century)」で、専門プログラム(基調講演、全体セッション、分科会)のほか、国立公文書館長フォーラム、運営会合(地域支部議長会合、執行委員会、年次総会等)が開催されました。


  • 専門プログラムでは以下の3つの全体セッションが行われ、デジタル資料と紙資料の差異等について各国代表から発表がありました。
      セッション1:21世紀のアーカイブズ保存の特徴
      セッション2:アーカイブズ保存における利害関係者
      セッション3:災害対策と対応
     全体セッションの他に合計12の分科会があり、各地域・分野・専門家団体等の具体的な保存・修復活動事例が発表されました。また、新しい試みとしてICAの具体的な活動を紹介するICAアウェアネス・セッションが行われ、ICAが資金援助を行っているプロジェクト、国際アーカイブズ開発基金、世界アーカイブズ宣言等についてのプレゼンテーションがありました。


  • 10月25日には、カナダ国立図書館公文書館長Daniel Caron氏が議長役となり、国立公文書館長フォーラムが開催されました。「開かれた政府」「デジタル情報資源の評価選別」「信頼できるデジタル資料保存施設の開発」をテーマに3つのセッションが組まれ、アメリカ、オランダ、カナダ、スイス、ニュージーランド、ベルギー、フィンランド、ブラジル、モザンビークの各国立公文書館長等が事例を発表しました。その後全体討論を行い、デジタル時代に即応した新しいビジネスモデルを追求し、目に見える形で社会に貢献していくために、国レベルの公文書館の連携を強化していくことを確認しました。


  • 10月27日に行われた全体セッション「災害対策と対応」では、高山正也館長が『被災アーカイブズを救え! 「悲惨」から「明日への希望」の発見』と題して、東日本大震災で被災したアーカイブズに対する政府及びアーカイブズ界の対応について報告し、大災害からの復旧に向けた最新の取組状況を伝える報告として、聴衆の注目を集めました。
     >>発表PPT[PDF]


  • CITRAの開催に合わせ、ICAの各種運営会合が開かれました。高山館長は、ICA東アジア地域支部(EASTICA)の議長として、執行委員会、地域支部議長会合、プログラムコミッション・セクション・地域支部合同会合に出席しました。また、菊池前館長は国際アーカイブズ開発基金(FIDA)理事会に出席し、開発途上国におけるアーカイブズ活動に関する補助金申請の選考を行いました。


  • 10月28日に開催された総会で、1954年に第1回をパリで開催して以来、57年間にわたって大会の無い年に毎年開催してきたCITRAを廃止することが決まりました。CITRAは今後、1)年次総会等のガバナンス会合、2)国立公文書館長フォーラム、3)専門セミナーの3部構成による年次会合(Annual Conference)に改組されます。総会では、CITRA廃止に伴う憲章改正を行い、今後年次会合の専門セミナーの構成はプログラムコミッションが担当すること、CITRA事務局に替わって国立公文書館長フォーラムの事務局を設置すること等を決定しました。CITRAは原則としてA会員(連邦/国立公文書館等)及びB会員(専門職団体・教育機関等)のみが参加できる会合でしたが、新たに始まる年次会合には、ICA会員であれば誰でも参加可能です。


  • 2010年のICA年次総会で承認された「世界アーカイブ宣言(Universal Declaration on Archives)」が、UNESCO(国際連合教育科学文化機関)の総会にかけられる運びになったことも報告されました。セネガル元国立公文書館長で現在UNESCO大使を務めるPapa Momar Diop氏等の尽力が実ったもので、ICAの生みの親ともいえるUNESCOの全体会議でこの宣言が承認されることは大きな意味を持つとして、各国に協力要請がありました。この「世界アーカイブ宣言」は、その後2011年11月10日のUNESCO総会で正式に採択されました。
     >>「世界アーカイブ宣言」日本語訳[PDF]


  • 総会ではこのほか、2011年のICA各部署の活動年次報告、2010年度外部監査報告、2012年度A会員の分担金額案、2012年予算案等を承認しました。また、2016年のICA大会開催地として立候補していた韓国がプレゼンテーションを行い、その後の投票の結果、正式に韓国・ソウルが開催地に選ばれました。


  • 第43回CITRAの詳しい内容は「アーカイブズ」46号(2012年2月発行予定)に掲載します。


  • 高山館長の発表

  • ICA年次総会に出席する日本代表

  • 年次総会における韓国のプレゼンテーション

  • 左からヤン中国国家档案局長、ソン韓国国家記録院長、高山館長