ソウル大会レポート

ICAは、公文書館や記録管理に携わる国家機関、団体、個人が加盟する国際NGOです。国立公文書館(当館)は、1972年に加盟し、以後ICAに関係する国際会議などに積極的に参加して、各国の公文書館やアーキビストとの交流を深めるとともに、国際的な公文書館活動への貢献に努めています。

2016年9月5日〜10日、韓国・ソウルにおいて、4年に一度のICA大会が開催されました。「アーカイブズ・調和・友情」をテーマに、前回大会を大幅に上回る114カ国、2049人が参加しました。当館からも講師を8名(外部有識者4名、当館役職員4名)派遣し、東日本大震災、公文書管理法制、デジタルアーカイブなどをテーマとした発表を行ないました。

【ICAソウル大会公式サイト(英語)】
http://www.ica2016.com/eng

ICA大会開会式
写真1:ICA大会開会式

ワークショップと発表

日本における被災文書の復旧(ワークショップ)

当館が主催したこのワークショップでは、2011年の東日本大震災以降の災害で被災した水損資料の復旧作業を紹介し、参加者に実際に修復作業を体験して頂きました。
ペーパータオルを使った、資料の乾燥作業(写真2)や汚れのひどい水損資料の洗浄作業(写真3)などを行ないました。

ペーパータオルを使った乾燥作業
写真2:ペーパータオルを使った乾燥作業
水損資料の洗浄作業
写真3:水損資料の洗浄作業

修復素材としての和紙とその世界への普及(発表)

和紙が世界の修復業界で一般的に使用されるまでのあゆみについて、増田勝彦氏(和紙文化研究会副会長)より発表がありました。(写真4)
発表を行なった増田勝彦氏(和紙文化研究会)
写真4:発表を行なった増田勝彦氏(和紙文化研究会)

戦時接収企業資料の整理における日豪協力(発表)

第二次大戦時にオーストラリア政府によって接収され、その後オーストラリア国立公文書館で保存されてきた戦前の在豪日系企業記録について、その形成過程や近年の整理・活用を目的とした二国間の協力について報告されました。(写真5)
[左から]加藤丈夫(当館館長)、秋山淳子氏(札幌市公文書館)
写真5:[左から]加藤丈夫(当館館長)、秋山淳子氏(札幌市公文書館)

アーカイブズと災害―東日本大震災から5年を迎えた日本の対応
(パネル発表)

記録及びアーカイブズを守ること、そしてその被害を最小限にとどめ、復旧を図ることは、アーキビストにとって重要な課題の1つであり、復旧技術や情報発信、文化の継承などにおいて、分野を越えた協力関係を構築する試みが重ねられています。

本発表は、日本におけるアーカイブズの防災及び災害対応の現状を、世界のアーカイブズ関係者と共有し、国際的な連携の可能性を探ることを目的として開催されました。(写真6)

[左から]高科真紀氏(国文学研究資料館)、三瓶秀文氏(福島県富岡町教育委員会)、筧雅貴(当館)
写真6[左から]高科真紀氏(国文学研究資料館)、三瓶秀文氏(福島県富岡町教育委員会)、筧雅貴(当館)

ICA総会

ICAの年次活動報告や、来年度の予算案等が協議されました。また、この総会では、ICA事務局と韓国国家記録院で推敲を重ねた「ソウル・コミュニケ」が発表されました。この宣言は、今大会のテーマ「アーカイブズ・調和・友情」の精神を維持し、デジタル記録管理に関わる専門的知識と経験を積極的に共有することで、テクノロジーに支配されるのではなく、テクノロジーを活用していく方針を示したものであり、参加者の拍手をもって採択されました。(写真7)

ICA総会
写真7:ICA総会

EASTICA公開フォーラム

ICAには地域ブロックごとに13の地域支部があります。当館館長は、日本が所属している東アジア地域支部(EASTICA)の議長としてこのフォーラムを運営し、今後のEASTICAの運営方針や取り組むべき活動などについて、来場者と討論を行ないました。(写真8)

EASTICA公開フォーラム
写真8:EASTICA公開フォーラム