企画展の見どころは?

書物を愛する人々

書物を愛する人々(蔵書家)は、貴重な書物を収集することはもちろんのこと、その蔵書をいかにして後世に伝えるかということに苦心しました。

本展示では、豊富な蔵書の中から厳選した宋元版30部を湯島聖堂に献納することで後世へと伝えようとした市橋長昭(いちはしながあき)[仁正寺藩主(にしょうじはんしゅ)]の旧蔵書、小笠原氏(小倉新田藩主)が湯島聖堂に納めた豪華な装幀の書物などを展示しています。

『康煕字典(こうきじてん)』を収めた箱の箱書き

小笠原貞哲(おがさわらさだとし)が湯島聖堂に献納した『康煕字典』を収めた箱に書かれた箱書きです。天保4年(1843)に聖堂が改修された際、祖父の貞顕(さだあき)が献納した『康煕字典』を修復し改めて聖堂に収めたという由来が金泥を用いて記されています。

『東坡集(とうばしゅう)』に附された献書跋

市橋長昭が献納した『東坡集』(重要文化財)の末尾に附された文章です。この文章からは、書物の収集に苦心したことや、貴重な蔵書を後世へ伝えたいという市橋長昭の思いが読み取れます。

漂流ものがたり

四方を海で囲まれた日本に暮らす人々は、中国、ベトナム、ロシア、アメリカ、さらには無人島と、数多くの漂流・漂着を体験してきました。一方、その逆もしかり。島国日本には異国から多くの船や人が流れ着きました。

本展示では、アジアや欧米へ漂流した日本人の体験や、日本に漂着した異国人への幕府の対応、現地の人々との触れあいの記録などを、当館所蔵資料から紹介します。また大黒屋光太夫によるロシア漂着から帰国までの見聞等を記録した、重要文化財『北槎聞略(ほくさぶんりゃく)』も展示します。

北槎聞略(ほくさぶんりゃく)[重要文化財]

天明2年(1782)、江戸への航海中に遭難、漂流の後ロシアに渡り、寛政4年(1792)に帰国した伊勢国の船頭大黒屋光太夫等の体験を、蘭学者で幕府奥医師の桂川甫周(かつらがわほしゅう)が幕府の命を受けて聴取したロシアの地誌・見聞録です。