14.日本銀行の創設

明治10年(1877)に西南戦争が起こると、政府は戦費を補うため不換紙幣(ふかんしへい)を大量に発行しました。その結果、激しいインフレーションと国際収支の悪化による正貨の流出が起こり、財政は破綻に瀕することとなりました。

明治14年に大蔵卿に就任した松方正義は、不換紙幣の増発が財政経済危機の主な原因であると考え、紙幣の整理と正貨の蓄積による兌換制度の確立による解決を目指し、徹底した緊縮財政と、官営工場の払い下げ、酒造税の引き上げなどを行って増収を図りました。また、海外荷為替資金として紙幣を輸出商へ貸付け、その売上金を正貨で領収して、兌換制度の準備金の増加を図り、政府紙幣の発行を縮小させるなどしました。これにより、紙幣整理は進みましたが、増税による深刻な不況と物価の急激な下落による、いわゆる「松方デフレ」が起こることとなりました。

さらに、松方は、明治15年10月に日本銀行を創設し、通貨信用制度の確立を図りました。銀貨と紙幣の格差が解消するのをまって、明治18年5月より、日本銀行は初めて兌換銀行券を発行し、ここに近代的通貨信用制度が形成されることとなりました。

展示資料は、日本銀行の創設に先立って松方より提出された「日本銀行創立ノ議」と、明治18年に発行された最初の日本銀行券の見本です。

日本銀行創立ノ議

  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • 6
  • 日本銀行創立ノ議1
  • 日本銀行創立ノ議2
  • 日本銀行創立ノ議3
  • 日本銀行創立ノ議4
  • 日本銀行創立ノ議5
  • 日本銀行創立ノ議6

明治18年に発行された日本銀行券(見本)

  • 1
  • 2
  • 明治18年に発行された日本銀行券(見本)1
  • 明治18年に発行された日本銀行券(見本)2
  • 前へ
  • ページ上部へ戻る
  • 次へ