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34.掛図 ―School and family chartsと博物図

1862年にニューヨークのハーパー・アンド・ブラザーズ社から出版された、教育用掛図です。入門単語や図形、色彩などを含む第1図から11図まであり、両面がカラーで刷られているため、全部で22枚の絵図によって構成されています。初等学校での授業における使用に耐えられるように丈夫な厚紙で作られており、また欄外には、色あせを防ぐためなるべく光に当てないよう注意書きがなされています。

本掛図は、初等教材『ウィルソン・リーダー』の執筆で知られるウィルソン(M.Willson 1813-1905)とカルキンズ(N.A.Calkins 1822-1897)による作成で、朱印「明治十一年購求」から、明治11年(1878)に内務省が入手したものと判断されます。ウィルソンが執筆した教材は、明治初期において『小学読本』として日本に紹介されました。彼はこうした教材を通じて、「実物教授」(object lessons)という教授法を主張しました。

ウィルソンらによって作成された教材は、日本の教育現場において積極的に取り入れられました。例えば、先の掛図と類似した図が、文部省編『小学入門』にも掲載されています。並べて展示している「博物図」は、明治6年に文部省によって刊行されたものですが、上述した掛図の“Botany”(植物)を参考にしたと考えられます。絵の上部には解説が書かれており、果物などの保存方法や食べ方について言及されています。

School and family charts
博物図

※写真をクリックすると拡大画像が表示されます

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